沖縄県浦添市の特定社会保険労務士・特定行政書士・1級FP松本です。
いまだに猛威を振るう新型コロナウィルス感染症。
沖縄県にも第四波が訪れ、ついに緊急事態宣言が発令されました。
それに伴い、沖縄県からの休校対応要請が出され、小中学校を休校とする市町村がでてきています。
新型コロナウィルスによる学校休校に対応するための保護者への特別休暇へ実施する事業主への助成金として、令和3年度から
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)に「新型コロナウイルス感染症対応特例」
が創設されています。
新型コロナウィルス感染症の学校休校対応助成金の検討をしている方は必見です。
(この記事は令和3年6月現在の情報をもとに記載しています)
学校休校対応助成金「両立支援等助成金」新型コロナウィルス感染症対応特例とは?
令和2年度にも「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」はありました。
令和2年度の助成金は、
「休んだ分だけ申請して助成金を受給する」
というシンプルなものでした。
学校からの休校の通知、対象労働者の署名、申請書、賃金台帳、出勤簿等の提出だけで、対象労働者の休業した休暇の日額の日数分を助成するというものでした。
小学校休校対応助成金は、令和3年度は元々からある育児休業に関する助成金「両立支援等助成金」のなかの一メニューとして残ることとなりました。
令和3年度の新型コロナ学校休校対応助成金は、令和2年度とは異なりいくつかの要件があります。
そのため、以前のように
「すぐに特別有給休暇、すぐに申請」
というわけにはいかなくなりました。
特に今回沖縄県では急遽休校対応が発表されたため、コロナ対応特別休暇の準備ができていた事業所はほんと少数ではないかと思います。
以下今回の助成金の要件を説明します。
学校休校対応助成金「両立支援等助成金」新型コロナウィルス感染症対応特例の概要
1.助成金の額
学校休校対応助成金「両立支援等助成金」新型コロナウィルス感染症対応特例の助成金の額は、
- 1人あたり5万円
- 1事業主につき10人まで(上限50万円)
です。
2.支給要件は?
主な支給要件は以下のとおりです。
- 次のどちらも実施されていること。
(イ)小学校等(小学校、保育園、幼稚園など)が臨時休業等になり、それに伴い子どもの世話を行う必要がある労働者が、特別有給休暇(賃金が全額支払われるもの)を取得できる制度の規定化。
(ロ)小学校等が臨時休業等した場合でも勤務できる両立支援の仕組みとして、次のいずれかの社内周知。
・テレワーク勤務
・短時間勤務制度
・フレックスタイムの制度
・始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)
・ベビーシッター費用補助制度 等 - 労働者一人につき、①の(イ)に定めた特別有給休暇を4時間以上取得したこと。
ということで、令和2年度より要件が増えていることがわかります。
特に1の(ロ)です。
育児と仕事を両立支援するための取り組みを1つ以上、周知しなければなりません。
沖縄県内で考えてみると、フレックスタイム制度の導入やベビーシッター費用の補助に取り組める企業はなかなかないのかなと言う印象です(テレワークすら難しい)。
また、コロナ休校対応への特別有給休暇を「4時間以上」取得することも何気にミソです。
「1回2時間だけ、迎えのため特別休暇使って早く帰りました」では対象になりません。
助成金活用の申請に向けた大きな流れとしては、
- 就業規則等にコロナ対応特別休暇の規定をする
- 両立支援のための取り組みを社内に通知する
- 4時間以上の特別有給休暇を取得する
です。
また休校は「小学校等」が対象です。
障害のあるお子さんの場合は中学校、高校も対象になります。
特別支援学校も対象です。
学校が休校になっていないのに「うちの子が心配だから」と自主的に休校させる場合は、特別有給休暇の助成金の対象外です(例外あり)。
厚生労働省のQ&Aも参考にしてください。
両立支援等助成金(育児休業等支援コース) 新型コロナウイルス感染症対応特例Q&A
3.申請期限は?
支給申請期限は以下の通り、特別有給休暇を取得した日によって期限が異なります。
スケジュールを考えて、申請期限切れにならないように注意してください。
特別有給休暇を取得した日 | 申請期間 |
令和3年4月1日~令和3年6月30日 | 令和3年4月1日~令和3年8月31日 |
令和3年7月1日~令和3年9月30日 | 令和3年7月1日~令和3年11月30日 |
令和3年10月1日~令和3年12月31日 | 令和3年10月1日~令和4年2月28日 |
令和4年1月1日~令和4年3月31日 | 令和4年1月1日~令和4年5月31日 |
申請書の添付書類に賃金台帳がありますので、実際は特別休暇を取得した翌月の給与支給日以降が申請スタートになるでしょう。
「2か月あるから余裕」
と思わずに早め早めに準備しましょう。
「小学校からの休校のお知らせ」など職場外から集める必要がある書類もありますので。
4.申請先は?
申請先は、本社を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)です。
雇用保険の助成金は「事業所単位(例えば支店)」が多いですが、
この助成金は「会社単位(事業主単位)」
になります。
申請書類や必要な添付書類は厚生労働省のHPをご確認ください。
事業主の方への給付金のご案内(厚生労働省HP)の<育児休業等支援コース>のところ。
まとめ
いかがでしたか。
令和3年度の新型コロナウィルス小学校等休校対応助成金、令和2年度とは要件が変わっている
というのがわかりました。
まず、
- 就業規則等に特別有給休暇の規定をすること
- 両立支援の取り組みを周知すること
- 特別有給休暇を4時間以上取得すること
が主な要件でした。
また「周知したこと」の証明の添付書類として「掲示しているところの写真」が例示されています。
支給要領は必ず確認してください。
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金について
リーフレットには書いていなくても
「支給要領にこう書いています」
と言われ不支給になることがよくありますので( ;∀;)
まだまだ予断を許さない新型コロナウィルス感染症。
社員の雇用の維持やメンタルヘルスにも大きな影響を与えています。
コロナ禍の厳しい経営環境を乗り切るために、労務管理の専門家、社会保険労務士をぜひご活用ください。