沖縄県浦添市の社会保険労務士、行政書士松本です。
新規感染者数も落ち着きつつある新型コロナウイルス感染症。
しかし経済の回復はほど遠く、休業を余儀なくされる事業所も多いですよね。
そんなとき活用できる助成金が「雇用調整助成金」
この雇用調整助成金については、一日の上限額が8,330円とされていて、それを超える分については企業の持ち出しとなり、不満が高まっていました。
しかし、今回上限額引き上げが盛り込まれた第二次補正予算が成立し、雇用調整助成金の日額上限が引き上げられることとなりました。
雇用調整助成金の活用を検討している事業主は必見です。
(この記事は令和2年6月14日に執筆しています)
雇用調整助成金の上限額引き上げの案内がでました
6月12日(金)厚生労働省より以下のリリースが発表されました。
令和2年6月12日に、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律が成立しました。
この結果、雇用調整助成金の更なる拡充が行われることが決まりました。
概要は次のとおりです。
1.助成額の上限額の引上げ及び助成率の拡充について
これまでの新型コロナ特例の雇用調整助成金助成額の上限額は、
日額8,330円
でした。
これが、
日額15,000円
まで引きあげられることが決まりました。
これは、令和2年4月1日から9月30日までの期間の休業及び教育訓練について、企業規模を問わず上限額が引き上げられることとされています。
2.解雇等を行わない中小企業の助成率の拡充について
解雇等をせずに雇用を維持している中小企業の休業及び教育訓練に対する助成率は、
原則9/10(一定の要件を満たす場合は10/10など)
となっていました。
これが今回の改正で、
助成率一律10/10
に引き上げることが決定しました。
現行(4/1~6/30) | 見直し後(4/1~9/30) | |
助成額 | 1日8,330円が上限 | 1日15,000円が上限 |
助成率 | ○ 大企業 2/3 ○ 中小企業4/5 ※解雇等がない場合 ○ 大企業 3/4 ○ 中小企業 9/10 【中小企業特例】(4/8~6/30) ・休業要請を受け休業する等、一定の要件を満たす場合 10/10 ・休業手当支払率が60%超の場合は超えている部分は10/10 | ○ 大企業 2/3(変更なし) ○ 中小企業 4/5(変更なし) ※解雇等がない場合 ○ 大企業 3/4(変更なし) ○ 中小企業 10/10 |
3.遡及適用について
今回の拡充の最大の目玉は、
上限引き上げが
- 4月1日にさかのぼって適用される
- 労働局・ハローワークが自動で計算してくれる
でしょうか。
先ほどの上限日額と助成率の引き上げについて、既に申請済みの事業主の方についても、令和2年4月1日に遡って適用となります。
しかも、労働局・ハローワークで追加支給分(差額)を計算するので、再度の申請手続きが必要ありません。
これは大変助かる。
既に雇用調整助成金の支給決定がなされた事業主は、 後日、追加支給分(差額)が支給されます。
既に支給申請をしているが、雇用調整助成金の支給決定がなされていない事業主 は、 追加支給分(差額)が含まれてめて支給されます。
ただし、過去の休業手当を見直し(増額し)、従業員に対して追加で休業手当の増額分を支給した場合には、当該増額分についての追加支給のための手続が必要となります。
※再申請の様式については、後述のリーフレットにQRコードが記載されています。
緊急対応期間が延長された
新型コロナウイルス感染症の感染の拡大防止のため、雇用調整助成金については、令和2年4月1日から同年6月30日までを緊急対応期間とし、各種の特例措置がを講じられてきました。
そして今回この特例が3か月間延長され、
9月30日まで
が特例対応期間となることが決まりました。
新型コロナウイルス感染症の影響でまだまだ休業が必要な事業所にとっては朗報です。
詳細は厚生労働省発表のリーフレットが参考になります。
まとめ
今回のまとめです。
- 雇用調整助成金の受給額の上限が1人あたり日額8,300円から15,000円へ引き上げられます。
- 解雇せず雇用の維持に努めた事業主の助成率が10/10に引き上げられます。
- 特例の対象期間が9月30日まで延長されます。
- 支給申請が住んでいる方は追加の手続きは不要です。差額(追加支給分)も含めて支給されます。
- すでに支給決定された事業主について、追加の支給手続きは不要です。すでに支給された額との差額分は後日支給されます。
- 支給申請が済んでいる事業主で、過去の休業手当を見直し(増額)追加で休業手当増額分を支給した事業主は追加支給の手続きが必要です(9月30日までに要提出)。
となっています。
もともと上限を超えないように休業手当を支給していた事業所も多いでしょうから、再申請が増え混乱することが懸念されます。
商工会等で社会保険労務士が相談を受けている場合もあるので、問い合わせてみるのもおすすめです。
最後に。
助成金の申請には日ごろの労務管理を適正におこなうことが必要です。
今後も続く働き方改革の推進、助成金の申請代行を専門におこなうことができる「社会保険労務士」の資格に、今注目が集まっています。
私は通信教育を利用して働きながら社会保険労務士の勉強をし、合格することができました。
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