こんにちは、社会保険労務士の松本@officegsrです。
いまだに猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。
2022年11月現在、第8波の到来が懸念されています。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が適用され、学校が休校するというとはほとんどなくなりました。
しかし、子どもが感染して学校が休まざるを得ないということはたびたび問題となります。
一般的には「家族の病気」になるので、「子の看護休暇」で対応するのですが、子の看護休暇が無給の事業所も多いです。
その場合年次有給休暇で対応できると良いのですが、有給の日数が残り少ない、すでに消化してしまった・・・という問題が生じてしまいます。
そこで活用を検討したいのが、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」です。
一度は終了するかと思われた本助成金ですが、たびたび延長を繰り返しており、
令和5年3月31日まで
休暇取得期間が延長しました。
ただし、支給額の上限額の特例が廃止されることが決まりました。
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金の利用を検討している事業主の方は必見です。
この記事でわかること
- 令和4年12月以降の支給上限額
- 上限額減額に伴う注意事項
支給申請の詳細については、以下の記事で触れています。
小学校休業等対応助成金・支援金の内容
まずは現行制度のおさらい。
【現行の制度概要】
厚生労働省リーフレットより引用
新型コロナウイルス感染症への対応として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者を支援するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、有給の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く。)を取得させた企業に対して助成金を支給するもの(小学校休業等対応助成金)。また、委託を受けて個人で仕事をする方が、契約した仕事ができなくなった場合にも支援をするもの(小学校休業等対応支援金)。
ということで、制度のたてつけ上は
「新型コロナウイルス感染症への対応として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者を支援するため」
となっていまして、利用できるのは臨時休業の時だけと思われがちです。
実は、子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対して有給の休暇を付与した事業主が対象となりまして、その対象となる子どもにコロナに感染して学校を休むことになった子どもが含まれます。
なので、
- 子どもがコロナに感染した
- その子どもを看護するため休む必要がある
場合でも対象となります。
「正規雇用・非正規雇用を問わず、有給の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く。)を取得させた企業に対して助成金を支給するもの」
ということで、有給休暇というのはパート・アルバイトの従業員でも発生するものであり、
「正社員には特別休暇を認めるが、パート・アルバイトの従業員はダメ」
というのは、同一労働同一賃金の観点から、問題となります。
また、委託を受けて個人で仕事をするフリーランスの方が、契約した仕事ができなくなった場合にも支援金の対象となります。
支給対象者
- 子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く。)を取得させた事業主(小学校休業等対応助成金)
- 子どもの世話を行うことが必要となった保護者であって、委託を受けて個人で仕事をする者(小学校休業等対応支援金)
対象者は「労働者」ですので、正社員、パート・アルバイト社員の区別はありません。
対象となる子ども
- 新型コロナウイルス感染症への対応として、臨時休業等をした小学校等に通う子ども
小学校等:小学校、義務教育学校の前期課程、特別支援学校、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等 - 小学校等を休むことが必要な子ども
ⅰ)新型コロナウイルスに感染した子ども
ⅱ)風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある子ども
ⅲ)医療的ケアが日常的に必要な子ども又は新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患等を有する子ども
第8波の到来も懸念されていますが、学校休校というのは今後はあまり考えにくいです。
しかし、「学級閉鎖」「学年閉鎖」というのはありえますよね。
学校休校の場合、休校のお知らせの文書を添付する必要があるので、学級閉鎖や学年閉鎖のお知らせのお手紙がある場合は保管しておきましょう。
支給額
- 労働者を雇用する事業主の方:休暇中に支払った賃金相当額 × 10/10(日額上限あり) (小学校休業等対応助成金)
- 委託を受けて個人で仕事をする方:就業できなかった日について、定額を支給(小学校休業等対応支援金)
ということで、会社に雇用されている労働者の場合は、一応「支払った賃金額の10/10」となっていますが、この上限額が現在では減額となっていますので、従来からこの助成金を活用していた事業所・労働者は今後支給額が下がる可能性があります。
小学校休業等対応助成金・支援金支給限度額の改正
今回の10月改正で、令和4年12月以降の
支給上限額の特例
が廃止されました。
また、利用できる期間が
令和5年3月末まで
延長されました。
これは労働者向けの小学校休業等対応助成金、フリーランス向けの小学校休業等対応支援金両方ともです。
これはある意味「政府としては緊急事態宣言、まん延防止等重点措置は今後発出するつもりはない」ということなんでしょうね。
小学校休業等対応助成金は、例えば、
- 月額給与22万円
- その月の労働日数が22日
の場合、1日特別有給休暇を利用したら22万÷22日=1万円で、1万円の助成金が申請できました。
これが上限8,355円となっていますので、ちょっと企業の持ち出しが出てくることになるんですね。
ここが「10/10支援します」と表示されながら、実は上限額がひっかかってくるという注意事項となります。
ただ、一度コロナの特別休暇を設定した場合、
「支給上限額が減額となったから廃止します」
というのは労働者の労働条件の不利益変更となりますので、会社が一方的に決定できません。
労働条件の不利益変更は、労働者と会社が真摯に話し合いを持ちお互い合意することが必要です。
まとめ
令和4年10月小学校休業等対応助成金・支援金の改正
そのまとめとしては、
- 令和5年3月の休業まで期間が延長された
- 支給上限額の特例が令和4年12月以降は廃止
でした。
支給対象者、対象となる子ども、支給率10/10は変わりませんが、支給上限額が減額されているので、労働者の有給額以下の支給額になる場合というのは増えてきています。
「支給上限額が下がったから特別休暇の制度をやめます」
と会社が一方的に決めることはできず、労働者の労働条件の不利益変更になりますので、会社と労働者が真摯に話し合う必要があります。
一時的な制度を取り入れる場合は、期限や条件の設定について就業規則の専門家である社会保険労務士に規程の書き方を相談したほうがいいですね。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。