沖縄県浦添市の特定社会保険労務士・特定行政書士・1級FP松本です。
日に日に猛威を振るう新型コロナウィルス感染症。
一時期は落ち着きを見せつつありましたが、第二波の到来も懸念されています。
新型コロナウィルス感染症の影響により休業を余儀なくされた場合に利用できる助成金が「雇用調整助成金」ですが、申請書の準備や手続きが煩雑で利用を断念された事業主も多いと思います。
そんななか、休業手当が支給されない労働者に支給される「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金」の詳細が厚生労働省から発表されました。
郵送での申請も、令和2年7月10日より始まっています。
今回の記事では、新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金概要について、社会保険労務士の観点から説明します。
新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金の利用を考えている方は必見です。
新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金とは
新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金とは、
新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止の措置の影響により休業させられた中小企業の労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった方に対して、当該労働者の申請により、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を支給する。
制度になります。
ポイントは「休業させられたこと」「休業中に賃金(休業手当)が支払われなかったこと」です。
ということは、雇用調整助成金などを活用して休業手当が支払われた事業所の労働者はその休業手当が支払われた休業は対象外となってしまいます。
ここがちょっと問題になっています。
というのは、新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金は
「平均賃金の8割」(上限1日当たり11,000円)
を支給する制度です。
対して、休業手当というのは労基法で
「平均賃金の6割以上」
支払うこととされています。
雇用調整助成金で平均賃金の6割の休業手当の支払いを受けた場合、新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金の方が支給額が多くなってしまいます。
休業手当をもらうことができなかった人の方が、支援金の支給額が多くなってしますのです。
もちろん休業手当を100%支給した事業所では、休業手当の方が得になります。
そういうこともあるので、厚生労働省は
「事業主のみなさまへ~まずは雇用調整助成金の活用をご検討ください~」
とお願いしています。
雇用調整助成金も上限額や助成率が引き上げられています。
100%休業手当を支給するなら雇用調整助成金の活用が良いですし、その方が労働者も助かります。
新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金の内容
新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金の主な内容は以下の通り。
対象者
対象者は、
令和2年4月1日から9月30日までの間に事業主の指示を受けて休業(休業手当の支払なし)した中小企業の労働者
となっています。
- 令和2年4月1日から9月30日までの間に
- 事業主の指示を受けて休業(休業手当の支払なし)
- 中小企業の労働者
まず認められる休業の期限が決まっています。
3月までの休業は対象となっていません。
また事業主の指示を受けて休業したことが必要です。
自分の判断で休んだ場合は対象となりません。
そして休業手当が支払われなかったこと。
最後に、大企業の従業員は対象外ということです。
大企業の従業員であれば、休業手当が支払われているところが多いのではないでしょうか。
もう一つ大きなポイントは、
雇用保険被保険者も被保険者以外も対象!
というところです。
雇用保険に入っている正社員も雇用保険に入っていないパート・アルバイトの方も対象です。
ただ事業所は「雇用保険適用事業所」であることが必要です(雇用保険対象労働者がいない場合は労災保険への加入が必要)。
また労働者性を見るためには雇用関係が前提ですので、雇用関係にない業務委託・請負などのフリーランスは対象外となっています。
支援金額の算定方法
支援金額の算定方法は、
となっています。
まず休業前の平均賃金を計算します。
平均賃金は休業前3か月の賃金を合計して90で割った日額をもとにします。
休業前の給料が2カ月しかない、1カ月しかない、そもそも新卒採用で給料がまだ出ていないという特殊な場合でも、計算する方法の考え方について厚生労働省HPのQ&Aで掲載されています。
そして30日又は31日から各月の「働いた日数」「自分で休んだ日数」を引いて、残った日数を平均賃金にかけて支援金額を算定します。
例えば、平均賃金が10,000円、30日の月に5日出勤して3日は自分の都合で休んだ場合は、
10,000×(30-5-3)=10,000×22日=22万円
が支援金の額となりますね。
手続き方法
手続き方法は原則郵送です。
オンラインも準備中とのことですが、雇用調整助成金のオンライン申請もシステムダウンでダメになったのであまり期待しない方がいいかもしれません。
労働者本人からの申請のほか、事業主がまとめて申請することも可能です。
必要書類は、
- 申請書
- 支給要件確認書
- 本人確認書類
- 口座確認書類
- 休業開始前賃金及び休業期間中の給与を証明できるもの
です。
労働者本人が申請できるものとなっていますが、必要書類で事業主の協力が必要なものがあります。
「支給要件確認書」は、事業主の指示による休業であること等の事実を確認するもので、事業主及び労働者それぞれが記入の上、署名することが必要です。
事業主の協力を得られない場合は、事業主記入欄が空欄でも受付は可能としていますが、この場合、法律に基づき労働局から事業主に報告を求めることとなり、
「その間は審査が止まるのでご了承ください」
というアナウンスがされております。
事業主には、審査への協力が求められます。
給与明細がないという場合は、事業主へ賃金台帳台帳の提出をお願いすることになります。
新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金の申請先と申請様式
新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金の申請先と申請様式について。
申請については、各党道府県労働局で一括して処理することとなっています。
お住いの地域の労働局のホームページをしっかり確認しましょう。
申請様式は厚生労働省のホームページで掲載されています。
新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金(厚生労働省)
そして問い合わせ先として、コールセンターが設置されています。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター
電話:0120-221-276
月~金 8:30~20:00
土日祝 8:30~17:15
土日祝祭日も対応しています。
まとめ
いかがでしたか。
今回詳細が明らかになった新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金。
要点をまとめると以下の通りです。
- 対象者は、令和2年4月1日から9月30日までの間に事業主の指示を受けて休業(休業手当の支払なし)した中小企業の労働者
- 支援金額の算定方法は、平均賃金の80%が日額の基本となる。
- 算定の際自己都合で休んだ休業日数は除く
- 申請方法は原則郵送
- 申請書類で労働者と事業主双方で協力して作成する書類がある
いったんは落ち着ききつつある新型コロナウィルス感染症ですが、7月11日現在東京などは感染者拡大の様相を呈し、第二波の到来も懸念されます。
労働者の雇用の維持のために、雇用調整助成金、新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金を上手に活用しましょう。
最後に。
助成金の申請には日ごろの労務管理を適正におこなうことが必要です。
今後も続く働き方改革の推進、助成金の申請代行を専門におこなうことができる「社会保険労務士」の資格に、今注目が集まっています。
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