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労災|忘年会二次会へ移動中のけがは労災?

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労災|忘年会二次会へ移動中のけがは労災?
PHOTO BY 写真AC

こんにちは、社会保険労務士の松本です。

新型コロナも収まりつつあり、年末年始は会社で忘年会新年会が行われるようになってきましたね。

今回は、忘年会の二次会への移動途中の事故は労災に該当するのかということについて、簡単に解説していきたいと思います。

忘新年会のシーズン、会社の飲み会が多い方は必見ですよ。
(この記事は2023年1月現在の法令をもとに記述しています)

動画での解説はこちらをどうぞ。

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忘年会での事故は労災になるの?

今回は架空のリフォーム会社のフィクションの相談ケースをもとにお話します

【相談ケース】

当社は「ダントツリフォーム株式会社」という従業員30名ほどのリフォーム会社です。
先日会社の忘年会がありました。一次会終了後、10名程度で二次会に流れました。
その一次会の参加者のひとりが、二次会会場へ向かう途中酒に酔った影響もあり、足元がふらついて側溝に落ちて、大ケガをしてしまいました。
この場合このケガについて、労災は適用されるのでしょうか。
なお一次会の参加については、希望者が参加する形でした。

今回の相談ケースの場合では果たして労災が認められる余地はあるのでしょうか。

結論から申しあげますと今回の相談ケースの場合、

労災が認められる可能性は低い

と思われます。

なぜかと言いますと、「労災」と認められるためには

「業務上の私傷病であること」

が大前提なんです。

この「業務上」というのがポイントです。

業務上の死傷病と認められるためには、

  • 業務遂行性
  • 業務起因性

が認められる必要があります。

労災における「業務遂行性」と「業務起因性」

労災における「業務遂行性」について

労災における「業務遂行性」とは、

「その事故やケガの原因が業務を行っている最中に発生しているか」

ということです。

会社の指揮命令下であれば一般的に「業務遂行性」というのは認められますが、休憩時間に外出しているときに事故にあってしまったという場合には、その事故が「仕事が原因で起こった事故」すなわち「業務起因性」がある、と認められない可能性がかなり高いです。

休憩時間中の労働者の行為は「私的行為」という言い方をします。

出社から退社までの勤務時間の間すなわち業務遂行中の時間であっても、休憩時間中に自分の用事で銀行へ行くなどの行為は「私的行為」とされ「仕事が原因である」という「業務起因性」が認められない可能性が高いんです。

もちろん、この休憩時間に銀行へ行く行為が「会社の経理業務のため」ということであれば、業務起因性が認められる可能性もあります。
(この場合は、休憩時間中の経理業務はそもそも労働時間ではないかという、別の問題も発生します)

さきほど、労災というのは、「業務遂行性」「業務起因性」が認められる必要があると述べました。

業務上かそうでないかというのは、まず「業務起因性」つまり「そのケガは仕事が原因かどうか」ということですが、その前段階として「そもそもケガをしたときが仕事中であること」つまり「業務遂行性」が認められなければなりません。

例えば、よく沖縄ではお家を立てるときの棟上げ式で、工事関係者の方に山羊汁などをふるまうことがあります。

この依頼主が大口のお得意様なので、

「棟上げ式に全員参加だ!」と会社が指示を出したとします。

その場合、その宴席でお酒がふるまわれた場合でも、棟上げ式への参加が業務命令なので業務遂行性が認められる可能性はありそうです。

さらにそのとき酔って転んでしまい山羊汁を温めるているガスコンロの上に転倒してやけどを負ってしまったという場合。

棟上げ式全員参加という指示があった業務のうえでにおこった事故なので、業務起因性も認められる可能性があります。

さきほどから認められる「可能性がある」と書いています。

これは、労災は申請を受けた労働基準監督署が調査をしたうえで、業務遂行性と業務起因性のあるなしを判断して決定するためです。

どのケースであれば絶対労災が認められるか、というのは本当にケースバイケースです。

ただ、労災が決定される基準というのは、

「仕事中であるか」「そのケガは仕事が原因であるか」

すなわち

「業務遂行性」と「業務起因性」

であることをまずは理解していただければと思います。

相談のあったダントツリフォーム株式会社のケースについては、忘年会一次会の参加は任意であり、その流れで二次会に行く途中のケガですから、仕事中とはいえませんし、ケガの原因も仕事が原因とはいえませんね。

そのため、今回の相談ケースの場合は労災が認められる可能性が低いと思われます。

もし、一次会の費用を会社が負担していたとしても、出席が任意であれば、業務遂行性は認められにくいと考えます。

まとめ

まとめ

今回は、労災の適用基準である

「業務遂行性」と「業務起因性」

について事例をもとにお話ししました。

「業務遂行性」とは

会社の指揮命令の下に置かれていたかどうか、つまり業務時間中であったか。

そして「業務起因性」とは

そのケガの原因が「仕事が原因」であったかどうか、

ということでした。

労災に該当するかどうかの決定は労働基準監督署が調査のうえで決定することです。

「これって労災?」と思った場合は事業所を管轄する労働基準監督署へご相談ください。

ちなみに労災の申請は原則労働者本人がおこなうこととなっています。

本日も最後までご覧いただきありがとうございました。

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