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年収の壁・支援強化パッケージとは?働きやすい環境を整える助成金

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年収の壁・支援強化パッケージとは?働きやすい環境を整える新制度の全貌
PHOTO BY 写真AC

こんにちは、社会保険労務士の松本@officegsrです。

最近巷で話題の「103万円の壁」
この103万円の壁は「所得税」が発生する収入の基準のことを言います。
この103万円の壁とは別に「106万円の壁」と「130万円の壁」があるのはご存じですか?

この106万円と130万円の壁は「社会保険」に関する収入の基準となっています。
この社会保険の壁について、実は2023年からスタートしている支援策が
あります。

それが、

年収の壁・支援強化パッケージ

です。

今回は「年収の壁・支援強化パッケージ」について解説します。
この制度は、年収による社会保険料負担や扶養の制約を解消し、より自由に働ける環境を整えることを目的としています。

特にパートやアルバイトで働く方々に影響する「106万円の壁」と「130万円の壁」への対策が中心です。

「年収の壁・支援強化パッケージ」について知りたい方は必見です。

Youtube動画も作成していますので、良かったらこちらもご覧ください。

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年収の壁とは?

年収の壁とは?
厚生労働省HPより引用

「年収の壁」とは、一定の収入を超えることで社会保険料の負担が発生したり、扶養から外れることで手取り収入が減少する現象を指します。
この壁は、特にパートやアルバイトで働く方々にとって大きな関心事であり、労働時間や収入を調整する要因となっています。

具体的には、以下の2つの壁が労働者にとって重要な影響を及ぼしています。

  1. 106万円の壁
    特定適用事業所で働く短時間労働者が社会保険に加入する基準となる年収額です。
    特定適用事業所(2024年10月より従業員51人以上)で働き、週の所定労働時間が20時間以上、月額収入が8万8千円以上、学生ではない等の要件を満たす場合、社会保険に加入する義務が生じます。
    これにより、健康保険料や厚生年金保険料の負担が発生しますが、同時に手厚い社会保険給付を受けられるようになります。
  2. 130万円の壁
    サラリーマンなどの厚生年金被保険者の被扶養者が扶養から外れる一般的な収入の基準です。
    この壁を超えると、自身で国民健康保険や国民年金に加入する必要(または自ら勤め先の社会保険に加入する基準まで労働時間を延長する)があり、保険料の負担が発生します。
    扶養から外れることで現在支給されている配偶者手当がなくなる場合もあるため、特に配偶者がサラリーマンである場合に意識される壁です。

これらの壁を超えることで一時的に負担が増えるため、多くの人が収入を抑え、壁を超えない範囲で働くように調整しているのが現状です。
しかし、こうした調整は、労働意欲や家計収入の最大化を妨げる要因ともなっています。
年収の壁は、働く人々にとって経済的な選択を迫る現実的な課題なのです。

年収の壁・支援強化パッケージの内容とは?

年収の壁・支援強化パッケージの内容とは?

106万円の壁対策

短時間労働者が社会保険に加入する際、その負担を軽減し、働く意欲を支えるために手取りが減少する分を補う手当を企業が新たに支給した場合、それに対して助成金を支給するしくみが導入されました(「社会保険適用促進手当」
この手当は、短時間労働者が社会保険に加入する際に発生する保険料負担を軽減することが狙いとなっています。

短時間労働者とは、具体的には、以下の条件を満たす労働者が対象となります:

  • 月額収入が8万8千円以上
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 学生でないこと
  • 2024年10月以降は従業員51人以上

これらの条件を満たす場合、通常の労働者の4文3未満の働き方でも社会保険に加入することになります。
また、企業がこの「社会保険適用促進手当」を支給した場合に利用できる助成金は、「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」です。

この助成金は、賃上げ等を実施することで最大3年間活用することができるよう設計されています。

この制度は、短時間労働者にとって手取り収入が減少する不安を軽減し、社会保険への加入を前向きに進めるための重要な支援策です。
また、企業にとっても労働環境の整備や人材確保を進めるメリットがあります。
このように、労働者と企業の双方にとって働きやすい環境を提供することを目的とした対策が、106万円の壁への具体的な対応となっています。

年収の壁・支援強化パッケージ(厚生労働省)

130万円の壁対策

130万円の壁対策
厚生労働省HPより引用

「130万円の壁」に対する支援策として、働く人が扶養から外れるリスクを軽減するための仕組みが導入されました。
この壁は、扶養に入っている方が年収130万円を超えると、自身で国民健康保険や国民年金に加入しなければならず(あるいは自ら健康保険・厚生年金に加入する時間まで労働時間を伸ばす)、保険料負担が発生するため、多くの人が働き過ぎないよう調整を余儀なくされるラインです。

まず、一時的な収入増加への対応として、繁忙期の残業や一時的に収入が130万円を超えた場合でも、事業主が「一時的」であることを証明すれば、扶養の認定が継続される仕組みが整備されました。
この変更により、一時的な労働時間の延長や収入増加が扶養認定を妨げるリスクが軽減され、安心して収入を増やすことが可能となりました。

次に、配偶者手当の見直しです。
扶養から外れると支給されなくなる規定が多い「配偶者手当」について、企業がその支給を見直しを勧めることができるように手順についてフローチャートを示すなど、配偶者手当を見直す動きが進められています。
これにより、扶養を気にして収入を抑えていた配偶者の労働意欲を高める効果が期待されています。

これらの支援策は、扶養認定に関わる制約を緩和し、短期的な収入増加が家計にプラスになるよう配慮されたものです。
結果として、労働者が働きたい分だけ働ける環境を整え、収入の上限を気にせず活躍できる選択肢を広げる役割を果たしています。

年収の壁・支援強化パッケージ(厚生労働省)

まとめ

まとめ
PHOTO BY 写真AC

「年収の壁・支援強化パッケージ」は、労働者が収入を調整する必要性を軽減し、より自由に働ける環境を整えるために導入された重要な支援策です。
特に、社会保険料負担や扶養から外れるリスクを意識する必要がある「106万円の壁」や「130万円の壁」に焦点を当てた対策が講じられています。

106万円の壁に対しては、短時間労働者の社会保険加入時に発生する負担を軽減するため、例として手取りの減収分を補う手当(「社会保険適用促進手当」)の導入です。
この手当を支給した企業には助成金が支払われる仕組みが整備され、労働者の手取り減少を補うとともに、企業の負担軽減も図られています。

一方、130万円の壁では、一時的な収入超過が扶養認定を妨げない仕組みや、配偶者手当の柔軟な見直しが進められています。
これにより、短期的な収入増加時でも安心して働ける選択肢が広がり、労働意欲の向上が期待されています。

これらの対策は、労働者にとっては収入の選択肢を増やし、企業にとっては労働力の確保や職場環境の改善を後押しするものです。
今後の労働環境の変化に対応するためにも、最新の制度を正しく理解し、上手に活用していくことが重要です。

自分に最適な働き方や収入計画を考える際には、ぜひ専門家や公的機関に相談してください。

※当オフィスではスポットの助成金申請はお受けできませんので、助成金を専門に扱っている社労事務所へご相談ください。


沖縄県浦添市の社会保険労務士、行政書士、1級技能士である松本崇が、年収の壁・支援強化パッケージについて解説しました。
企業の労務管理に関するご相談は、ぜひ社労士オフィスGSRまでお気軽にお問い合わせください。

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