こんにちは、沖縄県の社会保険労務士松本崇です。
今回は
「過去最大の上げ幅!最低賃金計算における除外される手当」
について解説します。
令和6年度、沖縄県の新しい最低賃金は952円となり、10月9日から適用されます。
時給制では比較が簡単ですが、月給制では最低賃金の計算に含まれない手当の区別が重要です。
最低賃金の計算から除外される手当について知りたい方は必見です。
Youtube動画も作成しておりますので、動画が見やすい方はこちらご覧ください。
最低賃金の計算から除外される手当
時給制の場合最低賃金の比較はわかりやすいですが、月給制の最低賃金を計算する際、基本的な賃金以外に支給される手当が含まれるかどうかが問題となります。
最低賃金法に基づき、実際に支払われる賃金から次の手当を除外したものが最低賃金の計算対象となります。
除外される手当の種類
- 臨時に支払われる手当(結婚手当や弔慰金など)
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる手当(賞与など)
- 所定労働時間外の労働に対する手当(時間外割増賃金など)
- 所定労働日以外の労働に対する手当(休日割増賃金など)
- 深夜労働に対する割増手当(午後10時から午前5時までの労働)
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
これらの手当が除外される理由について、詳しく解説します。
手当の解説
1. 臨時に支払われる手当
結婚手当や弔慰金など、特別な状況に応じて一度だけ支給される手当です。
これらは、最低賃金に関する継続的な賃金の評価には含まれません。
2. 賞与などの長期的な手当
1ヶ月を超える間隔で支払われる賞与なども、通常の月次の賃金計算には含まれません。
つまり、賞与が多く支給されたとしても、それをもって最低賃金を超えているとは言えないのです。
3. 残業代(時間外割増賃金)
所定労働時間を超えて働いた場合の割増賃金は、最低賃金の計算から除外されます。
残業代を多く支払っても、基本の最低賃金額には影響しません。
4. 休日労働に対する割増賃金
所定の労働日以外に働いた際に支給される休日割増賃金も、最低賃金には含まれません。
5. 深夜労働の割増賃金
午後10時から午前5時の間に働いた場合の深夜割増賃金も除外対象です。
深夜の時間帯で割増が支給されても、最低賃金を補うものとはみなされません。
6. 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
これらの手当は、最低賃金の基準から除外されることに特に注意が必要です。
支給条件が変動しやすい精皆勤手当や、通勤の実費補填である通勤手当、家族扶養のための家族手当は、基本的な賃金に含めることができません。
手当の性質による区別の理由
なぜこれらの手当が除外されるのでしょうか?それには各手当の性質が関係しています。
- 精皆勤手当:無欠勤で支給されるため、支給の有無が月によって異なる
- 通勤手当:実際の交通費の補填に過ぎず、生活のための基本賃金とはみなされない
- 家族手当:扶養家族の有無で支給額が異なり、全労働者に共通する基本賃金とは異なる性質を持つ
最低賃金は、最低限の生活保障という意味合いもあるので、安定した賃金を確保するために計算から除外するという意味があると思われます。
最低賃金と残業代計算の違い
最低賃金の計算と残業代(割増賃金)計算には異なるルールが適用されます。
残業代の単価を計算する際には、住宅手当や通勤手当、家族手当が除外されることがありますので、混同しないよう注意が必要です。
まとめ
最低賃金の計算から除外される手当。
中小企業の相談を受けていて、
「賞与で調整しているんだよ」
という考えの事業主が、ときどきいらっしゃいます。
先ほど述べたとおり、賞与は最低賃金の計算には賞与は含まれません。
令和6年度の全国平均最低賃金は1055円で、今後も上昇が見込まれます。
特に2020年代には全国平均1500円を目指す動きがあるため、毎年自分の賃金が最低賃金を下回っていないか確認することが重要です。
最低賃金の動向に注意し、適切な労働条件を維持することが大切です。
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
沖縄県浦添市の社会保険労務士である松本崇が、最低賃金から除外される手当について解説しました。
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