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働き方|2024年障害者雇用制度の改正点について解説

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障害者雇用制度の改正点
PHOTO BY 写真AC

こんにちは、沖縄の社労士・行政書士・FPの松本です。

2024年4月から施行される改正障害者雇用促進法は、障害者の雇用率の引き上げと雇用の質の向上に焦点を当てています。
これは、障害を持つ人々が直面する職場での課題に対処し、より公平で生産的な労働環境を実現するためのものです。
法改正の詳細と、それが企業の採用戦略や人事労務管理にどのような影響を与えるかを解説します。
企業の採用・労務管理担当者は必見です。

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障害者雇用促進法の改正について

障害者雇用促進法の改正について
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障害者の方々のさらなる雇用を促進するために、多様な就労ニーズに応えつつ、雇用機会を確保し、雇用の質を向上させることに焦点を当てた取り組みが必要であることから、この目的を達成するため、2022年12月に障害者雇用促進法を含む関連法規が改正されました。
改正の具体的な内容は次のとおりです。

事業主の責務の規定(2023年4月施行)

まず2023年4月から改正されていた「事業主の責務規定」について。
障害者の雇用者数を増やすことに集中するあまり、雇用後の障害者の活躍やキャリアアップの機会がおろそかになっている懸念があったんですね。
具体的には、事業主は「職業能力の開発及び向上」を促進する責務も担うことになりました。
この新しい規定に基づき、事業主は障害を持つ労働者の実績や能力に応じた人事評価制度を導入し、それに基づく具体的な業務目標の設定や能力向上のための機会を提供することが求められています。
これにより、障害者がそれぞれの能力に合わせて活躍できる環境が整うことを目指しています。

さらに、厚生労働省では、障害者が活躍できる職場環境の整備や適切な雇用管理を支援するためのポイントをリーフレットにまとめて公表しています。
このリーフレットは、障害者雇用における事業主の取り組みを具体的に示し、事業主が実践すべき内容を理解しやすくしています。
障害者の雇用に関わるすべての事業主にとって参考になる資料となっており、是非一読いただき、適切な雇用施策の実施に役立てていただければと思います。

障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について(厚生労働省HP)

週所定労働時間10時間以上20時間未満の対象障がい者も雇用率算定対象に

障害者の雇用率算定の対象労働者は週20時間以上とされていました。
これは職業的自立の観点から規定されたものですが、実態としては週20時間未満で働く障害者も多いわけです。
そのため、週20時間未満の時間で就労する特定の障害者も特例的に対象となることになりました。
具体的には重度の身体障害者、重度の知的障害者、精神障害者です。

なお、週10時間以上20時間未満が特例的に認められるからといって、みんな20時間未満で雇用していいというわけではなく、本人が週20時間以上を望むのであれば、事業主としては労働時間の延長を行うなどの努力義務が課されています。

なお就労支援事業所A型の利用者については、この特例措置の対象外となっています。

障害者雇用調整金等が調整され助成金の拡充

「法定雇用率」があるため、一定の規模以上の企業のみが障害者雇用の義務があると思いがちですが、実は法律ではすべて企業において障害者に雇用の場を提供する責務が定められているんです。
この理念を実現するために整備された制度が「障害者雇用納付金制度」です。
これまで一定の数を越えて雇用する障害者の人数に応じて「障害者雇用調整金」が企業に支給されていました。
この調整金が「支給されるだけ」となってしまっている状況があることから、一定規模以上の調整金が減額され、障害者の雇用環境の整備等に充てることができる助成金が拡充・新設されることとなりました。

厚生労働省HPより引用「新設助成金の設定及び既存助成金の拡充について(案)

法定雇用率・除外率の見直し

障害者雇用促進法では、5年ごとに雇用率の見直しが行われています。
具体的には以下のとおりです。

厚生労働省リーフレットより引用

2024年4月より民間企業の法定雇用率は2.5%以上となり、2026年7月には2.7%以上に引き上げとなります。
対象事業主の範囲も、従業員43.5人以上から40人以上に、2026年7月には37.5人以上の企業が対象となってきます。

また業種によっては法定雇用率を一律に適用することが困難な業種もあることから、除外率制度も設けられています。

厚生労働省リーフレットより引用

この除外率制度は、雇用する従業員の数を計算する際に、一定割合の従業員数を控除できる制度です。

この除外率はだんだんと、引き下げ・縮小となってきています。

まとめ

まとめ

2024年障害者雇用促進法の改正。

改正は今年度行われますが、次年度以降にもすでに決定している改正事項もありました。
特に注目すべきは、法定雇用率の段階的引き上げでしょう。
2026年には従業員数37.5人以上の企業が対象となってきます。
というのも、2024年10月より従業員51人以上の企業を対象に社会保険が適用拡大となります。
そして2024年は年金の財政検証の年でもあります。
今後の年金議論によっては、社会保険の適用拡大の人数も切り下げられていくかもしれません。

従業員30人以上50人以下の規模の企業においては、将来的な社会保険の適用拡大とあわせて障害者の法定雇用率(2026年から37.5人以上の企業が対象)も見すえて準備をしておく必要があります。

障害者が働きやすい職場は、多くの人が働きやすい職場でもあります。
誰もが働きやすい職場環境を整備するために、多様性を認め合う社会の一翼をになう企業を目指すなら、障害者雇用に取り組んでみるのはいかがでしょうか。

障害者雇用の支援をおこなう機関として、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)がありますので、各都道府県支部にぜひ相談してみてください。

本日もGSRブログを最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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