新型コロナウィルス感染症に関する企業のQ&A（Vol.2）労災編

その仕事が原因で感染したと認められる場合には、労災保険給付の対象となります。
また、新型コロナウイルス感染症による後遺症が継続し、病気療養や休業の継続が必要と認められる場合にも、労災保険給付の対象となります。
実際に申請が認められるかどうか、請求の手続等については、事業場を管轄する労働基準監督署にご相談ください。

あなたの住所地を管轄する労働基準監督署ではございません。

労働基準監督署に「感染は職場が原因の労災である」と認めてもらう必要があります。

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症に係る労災認定事例を公表しています。

医療従事者等の事例では、

・感染経路は特定されなかったが、日々多数の感染が疑われる患者に対する診療業務に従事していた医師

・感染経路は特定されなかったが、日々多数の感染が疑われる患者に対する問診、採血等の看護業務に従事していた看護師

・感染経路は特定されなかったが、介護施設で日々複数の感染が疑われる介護利用者に対する介護業務に従事していた介護施設職員

など、新型コロナウィルス感染症に感染した患者・利用者と直接接する業務があげられています。

医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定された場合の事例では、

・飲食店内での接客業務に従事していたが、店内でクラスターが発生し、これにより感染したと認められた飲食店員

・保育園で保育業務に従事していたが、園内でクラスターが発生し、これにより感染したと認められた保育士

・勤務中、同僚労働者と作業車に同乗していたところ、後日、作業車に同乗した同僚が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、当該同僚から感染したと認められた建設作業員

など、新型コロナウィルス感染症によるクラスターの発生、同僚との密閉空間での接触があげられています。

その他医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されない場合で、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務（複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等の近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など）に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となる場合があります。

職場で感染したかも？と思われる場合は、労働基準監督署へ相談することをおすすめします。

自宅等での療養期間について、ＰＣＲ検査や抗原検査の陽性結果を確認できる書類を自宅療養したことを客観的に推定できる書類として休業補償給付支給請求書に添付した上、請求することができます。

たとえば、保健所からの就業制限の通知、就業制限解除の通知も利用できます。
My HER-SYSにより電磁的に発行された証明書等でも可能です。

そのほか、新型コロナウィルス感染症に感染する前の14日間の行動履歴について労働者、会社双方が記述して提出が求められます。

新型コロナウイルス感染症の感染が労災と認めらない場合、健康保険加入者であれば「傷病手当金」の申請が検討できます。

申請先は健康保険協会、健康保険組合等の保険者です。

申請のための書類は、感染したことを証明する保健所等の通知、労働者の感染前行動履歴です。申請書の3ページ目の出勤状況と賃金支払い状況について、会社に証明してもらう必要があります。

健康保険の傷病手当金は、自ら健康保険に加入している労働者です。扶養に入っている場合は、残念ながら健康保険の傷病手当金を利用できません。

国民健康保険に加入している労働者でも、市町村によっては仕事を休みやすい環境を整備するため、傷病手当金を支給している場合があります。お住いの市町村に問い合わせてみましょう。