こんにちは、沖縄県の社会保険労務士松本崇です。
「特定求職者雇用開発助成金の就職困難者コース」は、企業が社会的な責任を果たしながらも事業の成長を支援するための重要な手段です。
特に、高年齢者や障害者、長期失業者など、就職に困難を抱える方々の雇用を促進するこの助成金は、企業にとって優秀な人材の確保と職場の多様性の向上を同時に実現できる貴重な制度です。
例えば、ハローワークを通じて失業者を正社員等として雇用した場合、一定期間にわたり助成金が支給されるため、人件費の一部が補助され、経営者にとっての負担軽減が図れます。
さらに、助成金の活用は、企業イメージの向上にもつながり、社会的に求められるCSR活動の一環として評価されることもあるでしょう。
本記事では、この就職困難者コースのメリットや活用方法、申請のポイントを具体的に解説し、助成金を効果的に活用して企業の成長と社会貢献を両立させる方法をご紹介します。
助成金の活用について検討したい方は必見です。
「特定求職者雇用開発助成金 就職困難者コース」について
「特定求職者雇用開発助成金 就職困難者コース」は、就職が特に困難な高年齢者、障害者、母子家庭の母親などを対象とし、ハローワークや民間の職業紹介事業者を通じて継続的な雇用を行う事業主に対して支給される助成金です。
対象となる労働者の属性や企業の規模に応じて、1人あたり60万円から240万円までの助成金を受け取ることができます。
支給の対象となる期間は1年から3年であり、助成金は半年ごとに申請することが可能です。
主な支給要件は次の通りです。
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
- 雇用保険一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること
- 雇用関係助成金共通の要件を満たすこと
- 対象労働者に関する要件を満たすこと
そして対象となる助成額は次のとおりです。
「特定求職者雇用開発助成金 就職困難者コース」は、60歳以上の高齢者や、障害者、母子家庭の母親等の就職困難者を「ハローワーク等の紹介」により採用し、雇用保険の一般被保険者として雇用する事業主に対して支給される助成金となります。
就職困難とされる方々の採用が増えることとその定着を目的とした助成金なので、対象労働者をハローワーク等を経由して雇用することが肝心です。
対象労働者を雇用すると、助成金の案内や申請書が送付されてくるので、比較的取り組みやすい助成金となっております。
「特定求職者雇用開発助成金 就職困難者コース」の受給要件
対象労働者に関する要件は次のとおりです。
- ハローワークなどの職業紹介以前に採用に向けた選考を開始した者でないこと
- 職業紹介時点で、在職者でないこと(重度障害者、 45 歳以上の障害者、精神障害者を一週間の所定労働時間が30 時間以上で雇い入れる場合は在職者であっても助成対象)
- 採用した事業所と関係のあった者でないこと(過去3年間に事業所で就労させたことがある場合、事業主と3親等以内の親族である場合など)
- 助成対象期間の途中などにおいて、離職した労働者でないこと(労働者の責めに帰すべき理由による解雇などは除く)
- 性風俗関連営業などを行っており、接待業務などに従事する労働者でないこと
そして、事業主に関する要件は次のとおりです。
- 雇用保険の適用事業主であること
- 対象労働者の賃金を支払っていること
- 労働保険料を滞納していないこと
- 採用日前後6か月間に事業主都合による解雇をしていないこと(勧奨退職を含む)
- 採用日前後6か月間に、倒産や解雇など特定受給資格者となる理由で離職した被保険者の数が、対象労働者の採用日における被保険者の6%を超えている場合(特定受給資格者となる離職者が3人以下の場合を除く)
- 対象労働者の雇入れ日よりも前に本コース等の支給決定がなされた者を、支給申請日の前日から過去3年間に、その助成対象期間中に事業主の都合により解雇・雇止め等をしていないこと
です。
最も重要なポイントは「ハローワークなどの職業紹介以前に採用に向けた選考を開始した者でないこと」だと思います。
ハローワーク等の紹介前に面接し採用選考を開始した場合は対象外です。
また、ハローワーク等経由で雇用することも必要です。
ハローワーク等経由で無く該当労働者を採用してしまった場合は助成金の対象外です。
通常対象労働者を紹介されるときに、助成金の対象であることの案内があります。
この事前の案内が無い場合(母子家庭の母であることを隠していた場合など)は対象になりません。
もうひとつ重要なことがあって、それは「無期雇用契約」が前提ということです。
有期の契約社員であっても、本人の希望で原則自動更新であれば対象となります。
ただし雇用契約書に「自動更新」であることが明記されていることが必要です。
つまり、契約社員であっても実質無期雇用になる、ということです。
「特定求職者雇用開発助成金 就職困難者コース」の支給申請について
「特定求職者雇用開発助成金 就職困難者コース」の支給申請については次のとおりです。
対象労働者を雇い入れ後、申請時期が近づいてきたら案内と申請書が郵送されてきます。
6か月間の期間ごとに支給されますので、該当機関の賃金台帳・出勤簿はしっかりと整理しておく必要があります。
先ほど述べたように雇用契約書の内容も確認されますので、契約社員の場合は自動更新であるなどの記載も重要です。
まとめ
「特定求職者雇用開発助成金 就職困難者コース」
先ほども述べましたが、助成金のなかでも比較的取り組みやすい助成金です。
対象期間内に対象労働者が自己都合で退職した場合は支給されませんが、対象期間後であれば退職届を添付することで申請可能です。
またキャリアアップ助成金の正社員転換コースとの併用も可能ですが、その場合は「無期→正規」の取り扱いとなります。
助成金はメリットが多いように見えて実はデメリットもあります。
簡単に何百万円ももらえるような案内を見かけることがありますが、労務管理のバランスも考えながら、自社の取り組みにあった助成金を選ぶようにしてください。
※当オフィスでは、助成金のスポット申請の依頼をお受けできません。
沖縄県浦添市の社会保険労務士である松本崇が、2024年助成金について解説しました。
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