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シニア世代の年金はどう変わる?在職老齢年金の見直しと保険料上限引き上げの行方

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シニア世代の年金はどう変わる?在職老齢年金の見直しと保険料上限引き上げの行方
PHOTO BY 写真AC

こんにちは、沖縄県の1級技能士、社会保険労務士松本崇です。

2024年度は5年に一度行われる公的年金の「財政検証」の年でした。

その財政検証で議論された項目のなかで、働くシニア層に影響があると思われる

  • 在職老齢年金制度
  • 厚生年金保険料上限額

について解説したいと思います。

日本の年金制度は、少子高齢化や人口減少といった大きな課題に直面しています。
特に近年、高齢者が増加する一方で現役世代の労働人口が減少しているため、年金財政への負担が懸念されています。
これに対して、政府は年金制度の見直しを進め、将来の持続可能性を確保するための改革案を模索しています。
その中でも、65歳以降に働く人の賃金に応じて年金が減額される「在職老齢年金制度」の見直しが注目されています。

現行の在職老齢年金制度は、賃金と年金の合計が一定額を超えると年金が減額される仕組みで、シニア世代の就労意欲に影響を与えていると指摘されています。
特に人手不足が叫ばれる現代において、高年齢者の労働参加を妨げる要因として、この制度の改正が求められています。
また、厚生年金保険料の上限引き上げも議論されており、年金財政を支える新たな方策として期待されています。

今回の記事では、在職老齢年金制度の詳細や保険料上限引き上げの背景、これらの見直しがもたらす影響について詳しく解説します。
高齢者の労働と年金制度の関係を理解し、将来の備えとして役立てていただければ幸いです。

Youtube動画も作成しておりますので、よかったらご覧ください。

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在職老齢年金制度とは?

在職老齢年金制度とは?
PHOTO BY 写真AC

在職老齢年金制度とは、簡単に言うと「65歳以上の方が年金を受給しながら働く場合に、賃金と年金の合計額が一定の基準を超えると、年金が減額される仕組み」です。
この制度は、賃金と年金の併用が可能である一方、収入が多い場合には給付額に制限がかかることで、年金財政を健全に保つことを目的としています。

現行制度では、これまた簡単に説明しますと「65歳以上の基準額は月額50万円で、賃金と年金の合計がこの基準を超えると、超えた分の2分の1が年金から減額される仕組み」です。
例えば、賃金と年金の合計が60万円の場合、50万円を超えた10万円の半分、すなわち5万円が年金から減額されます。
このため、賃金が高いシニア層は年金が減額されることを避けるため、あえて労働時間や給与額を抑えるケースが少なくありません。

この制度は、高齢者が収入を得つつ年金の恩恵を受けることを可能にする一方で、収入制限が働くため、働く意欲を削ぐ要因にもなっていると指摘されています。
特に人手不足が深刻な現代において、高年齢者の労働参加を促進するためには、在職老齢年金制度の見直しが求められています。

年金と給与合わせて月額50万円であれば、年額600万円にもなります。
シニアでもそれだけ年収があったら老後の生活はゆとりあるものになるでしょう。
在職老齢年金の見直しの議論にも今後注目しましょう。

ただし、在職老齢年金の緩和は年金財政への負担増になりますから、負担と給付の面でもなんらかの見直しが行われる可能性があると考えます。

厚生年金保険料上限の引き上げ

保険料上限の引き上げ
PHOTO BY 写真AC

厚生年金保険料は、加入者の収入に応じて計算されますが、現行制度では収入にかかわらず月収65万円を上限に保険料が設定されています。
つまり、月収が65万円を超える高所得者も、月収65万円の方と同じ保険料負担となるため、それ以上の収入に対しては保険料が加算されません。
これにより、現行の上限制度では年金財政への貢献度に差が生じ、財政的な課題となっています。

そこで、政府は厚生年金の財政を安定させる一環として、この保険料上限を75万円や98万円に引き上げる案を公開しました。

国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しの関連試算(厚生労働省)

上限引き上げが実施されれば、保険料収入が増え、年金給付の安定性が高まると期待されています。
しかし、保険料の引き上げは、企業側にとっても大きな負担増となります。
厚生年金は企業と従業員が折半して負担するため、上限額が引き上げられると、企業のコストも増加します。
これには経済団体からも反対の意見があり、企業負担を考慮しながらの慎重な議論が求められています。

上限額の引き上げは年金財政の安定化に寄与する一方で、企業や高所得者への影響も大きく、導入には課題が多いといえます。
今後、少子高齢化が進む中で、より持続可能な年金制度のために、適切なバランスを保つことが重要です。

年金制度改革がシニアに与える影響

年金制度改革がシニアに与える影響
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年金制度改革は、特に65歳以上のシニア世代に大きな影響を与えます。
まず、在職老齢年金制度の上限額が増額見直しされると、収入を得ながらも年金を減額されることなく働くことが可能になるケースが増え、シニア層のさらなる就労意欲が高まると期待されています。
従来は、賃金と年金の合計が一定額を超えると年金が減額されるため、あえて労働時間や収入を調整するシニアも多くいました。
しかし、見直しにより年金減額の基準が引き上げられることで、シニア層が収入を抑えることなく働くことができるようになり、働きがいや生活の安定が促進されるでしょう。

一方で、厚生年金保険料の上限引き上げも、シニア世代に影響を及ぼします。
高所得のシニア層にとっては、将来的な年金受給額に反映される可能性があるため、特にフルタイムで働き続ける意欲が高まる一方、保険料負担も増えるため、生活費に影響が出るかもしれません。
また、上限引き上げに伴って企業側の負担も増加するため、シニア層の再雇用や雇用維持の方針にも影響が及ぶ可能性があります。

全体として、年金制度改革によりシニア層の働きやすい環境が整う一方で、保険料負担や企業側の負担増加など、収入面での影響も無視できません。
今後の年金改革の行方に注目し、シニア層が無理なく長く働ける環境が確立されることが望まれます。

まとめ

まとめ
PHOTO BY 写真AC

在職老齢年金の見直しと厚生年金保険料上限額見直しの議論

今回の年金制度改革では、シニア世代の就労促進と年金財政の健全化を両立させることが大きな課題となっています。
まず、「在職老齢年金制度」の見直しにより、65歳以上のシニアが賃金を抑えることなく働けるようになることで、就労意欲が高まり、人手不足の解消にもつながると期待されています。
これにより、シニア層が生活費を補うだけでなく、社会とのつながりを持ち続け、生きがいを感じながら働ける環境が整う可能性が高まっています。

また、厚生年金保険料上限の引き上げについても、年金財政を安定させるための重要な施策です。
これにより、厚生年金の保険料収入が増え、年金制度の持続可能性が高まることが期待されています。
しかし、企業や高所得者にとっては負担増となるため、経済団体からは反発も見られ、慎重な議論が必要とされています。
特に企業にとってはコスト増が問題視されており、シニア層の再雇用や給与水準への影響が懸念されるため、今後の調整が求められます。

今回の年金制度改革は、シニア世代にとって「働きやすく生活を支えやすい」仕組みを目指しているものの、年金財政の負担や企業の負担を調整するための課題も残されています。
少子高齢化が進む中、現役世代とシニア世代が支え合う仕組みが不可欠です。
シニア層が安心して働き続けられる環境の整備に向け、今後の動向に注目しながら自身のライフプランを見直していくことが大切です。

本日も最後までご覧いただき ありがとうございました。


沖縄県浦添市の1級FP技能士、社会保険労務士である松本崇が、年金制度改革の方向性について解説しました。
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