こんにちは、沖縄県で社労士やっております松本@officegsrです。
今回の記事のテーマは
「年金改正をうまく活用して生涯現役を目指そう!」
です。
その改正のポイントは次の5つです
・年金の繰り下げ受給が75歳まで可能に
・60代前半の在職老齢年金の上限額がアップ
・年金額が毎年改定される在職定時改定
・従業員100人を超える企業の社会保険適用拡大
・個人型確定拠出年金idecoの加入上限年齢の引き上げ
です。
定年後も働くことが当たり前の時代になってきています。
ハッピーシニアライフを目指しているかたは必見です。
生涯現役をめざす背景
世の中の多くの会社では定年を「60才」と定めています
一昔前は
「定年後は趣味に旅行に」
ということで現役引退というイメージが強かったですよね。
しかし、令和の現代では昔とは大きく違っています。
2021年の厚生労働省の調査でも、高齢者の就業者数は過去最高を記録しました。
また「高年齢者雇用安定法」が改正され、企業における70才までの「就業確保努力義務」が始まっています。
60才以降も働き続けることが当たり前の世の中になってきているんです。
こうした高年齢者の働く環境の整備にあわせて、2022年4月以降年金制度の改正もおこなわれました。
年金の繰り下げ受給が75歳まで可能に
年金は基本的には、65歳になって請求して初めて支給されます。
この年金の支給開始年齢を60代前半にしてもいいですし、65歳より後の60代後半にしてもルール上はOKです。
その際、60代前半に持ってきた場合は1か月当たり0.4%年金額が減額されます。
反対に、65歳よりあとに年金受給開始年齢をもっていくと1か月当たり0.7%年金が増額します。
そこで年金の支給開始年齢を5年後の70歳に繰り下げした場合、0.7%かける60か月で42%も年金額が増えることになります。
単純に年金が1か月10万円とすると、14万円2千円と1か月あたり4万2千円も増えるのです。
これが75歳まで繰り下げすると、最大84%も年金額が増加します。
単純に年金月額が10万円とすると、年金月額18万4千円と8万4千円も増加するのです。
「これってすごいお得じゃないか?」と思いますが、年金をうしろに繰り下げるってことはその間の生活費がないので、働かないといけないことを忘れてはいけません。
あるいは働くだけでは足りなくなるので貯金を取り崩す場合もあるでしょう。
ですから、いくつまでどれくらい働くことができるのか、40代50代くらいから考えておきたいところです。
60代前半の在職老齢年金の上限額がアップ
厚生年金はもともと60歳から支給されてきました。
それが段階的に65歳へと支給開始年齢が上がってきているのですが、現在制度移行中で60歳前半から厚生年金が受給できるという方がまだいます。
在職老齢年金と言うのは、この60代前半の年金と毎月の給料との合計が基準額以上になると年金が減額される仕組みです。
これが以前は上限額が「28万円」でした。
毎月の給料と年金の合計が28万円というのは、すぐに上限額に達してしまうという方もい多かったのではないでしょうか。
この上限額が47万円まで大幅に引き上げられたため、年金と給与をあわせても47万円までは年金が減額されない仕組みとなりました。
年金額が毎年改定される在職定時改定
以前は65歳以降に年金を受給しながら働く場合、65歳以降に働いた厚生年金の増額部分は70歳時点などで改正されていたのです。
それが、働いた分は毎年決まった時期に増額改定される、こととなりました。
今働いても増額が5年後というのではモチベーションもあがりませんよね。
それが今年働いた分が翌年の年金に反映されると思えば「今年もがんばろう!」と思えますよね。
これも65歳以降働き続けて厚生年金に加入するメリットだと思います。
従業員100人を超える企業の社会保険適用拡大
2022年10月から従業員100人を超える企業のパート社員も社会保険の加入対象となりました。
基本的には週20時間以上、月額8万8千円以上などで働くパート社員が対象です。
60歳以上になるとパート社員として働いている方も多いかと思います。
一般的な年金は、国民年金と厚生年金があります。
このうち国民年金の保険料支払いは原則60歳までで、それ以降年金額を増やすためには、「任意加入」などを利用するしかなかったんです。
厚生年金は70歳まで加入が可能です。
年金は長く加入して払えば払うほど年金額は増えていきますから、年金額を少しでも増やしたいとお考えの場合は、70歳まで社会保険加入できる事業所での就労を検討してみてください。
個人型確定拠出年金idecoの加入上限年齢の引き上げ
個人型確定拠出年金idecoを利用していますか?
以前まではidecoの加入年齢は60歳まででした。
これが65歳まで加入可能になりました。
何がメリットなのか。
idecoの場合は毎月決まった金額を投資信託等を積立していくのですが、投資信託の積立というのは一般的に長ければ長いほど効果が出てくると言われています。
また加入期間が10年必要だったため、50代から新規加入すると60歳到達以降は積立はできないまま、10年経過する受給開始までブランクがありました
これが50代前半で始めても10年満了するまで積立が可能となったのです。
国民年金だけの加入や第3号被保険者の場合は任意加入が必要となりますので、これはよく確認してください。
idecoの運用益は非課税で積立金も所得控除が活用できますので、老後に向けた資産形成におすすめです。
まとめ
いかがでしたか。
2022年度の年金制度改正は、
・年金の繰り下げ受給が75歳まで可能に
・60代前半の在職老齢年金の上限額がアップ
・年金額が毎年改定される在職定時改定
・従業員100人を超える企業の社会保険適用拡大
・個人型確定拠出年金idecoの加入上限年齢の引き上げ
でした。
私の場合は、現在独立開業しているので定年はありませんが、70歳までは今の仕事を続けるつもりで70歳から年金を受給開始しようと考えていました。
しかし75歳まで年金繰り下げが可能となったので、70歳までフルで働いてそこからは貯金とパート生活をして75歳から年金生活を送ろうかなとも考え始めました。
それは「長生きのリスク」に対応するためです。
長生きしても元気だといいですが、医療費の負担も増えていきます。
年金の最大のメリットは「長生きのリスクに対応する」終身年金ということなのです。
80歳、90歳まで生きることが当たり前になっても、実際そのときは就労できるような体力はほとんどないと思った方がいいでしょう。
そのときは、年金収入だけが頼りです
年老いて介護が必要となったとき、子どもの世話になろうと考えていても、頼りにできるかどうかはわかりません。
将来お金がなくてもなんとかなると考える人は老後の資金形成は考えなくても良いかもしれません。
私のように心配な方は、2022年度の年金制度改正をかしこく活用して、老後資金を増やすような努力していきたいですね。
私は、
「年金なんて払ったって将来もらえないだろう
とか、
「国がなんとかしてくれるだろう」
というような悲観的な考えをするよりは、今ある制度をどんどん活用して主体的に人生歩んでいこうと考えた方が将来ハッピーだなと考えています。
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。