沖縄県浦添市の特定社会保険労務士、特定行政書士、1級FP松本@officegsrです。
相続や贈与について考えるときって、「親族」っていう考え方が出てきますよね。
親族というとじいちゃんばあちゃん、おじさんおばさん、いとこ・・・と頭に思い浮かべると思いますが、実は「親族の範囲」というのは法律で決められています。
「遠い親戚」と言っても、法律でいう「親族」には含まれない場合があるのです。
相続・贈与に関して親族の範囲について知りたい方は必見です。
この記事でわかること
- 「親族」の範囲
- 養子縁組について
親族の範囲について
「親族」の範囲を定めているのはまず「民法」です。
民法でいう親族とは、
- 6親等内の血族
- 配偶者
- 3親等内の姻族
を言います。
「血族」とは、「血縁関係にある親族」です。
要するに「あなた側の親戚」のことですね(配偶者側の親戚(配偶者の血族)は姻族)
また、「養子」や「養子縁組」というのも親族関係を構成するしくみです。
法律上は養子と養親およびその血族は、養子縁組の日から血族と同じ扱いの親族関係を持つことになります。
なお、養子縁組による親族関係は、「養子の離縁」という手続きにより終了します。
つぎに「姻族」と言うのは、「婚姻関係による親族」のことです。
姻族との関係は「離婚」によって終了します。
実は、離婚ではなく「死別」(夫婦のどちらかが死亡した場合)の場合には、生存している配偶者と死亡した配偶者の血族(配偶者側の父母や祖父母)は姻族関係が継続することになります。
たとえば、夫が死亡しても残された妻と夫の父母・祖父母とは姻族関係は終了しません。
この場合、生存している配偶者が「婚姻関係終了の届出」を市区町村長に提出すると、姻族関係は終了します。
以前テレビの法律相談で、無くなった夫の母親から「嫁なんだから面倒見てよ」とせまられて困っているという相談で、婚姻関係終了の届出を提出して親族関係を終了させるというアドバイスが放送されていました。
配偶者と死別した後姻族との関係で悩んでいる方は、一度市町村に相談してみると良いでしょう。
もちろん、姻族との関係継続を望んでいる方は提出しなくてもよいものです。
親子関係について
妻が結婚中に妊娠した子は、夫の子(嫡出子という)と推定され、親子関係が発生します。
反対に、結婚関係にない女性から出生した子(非嫡出子という)は、その父親が明らかであっても、父親が認知しない限り父子関係は発生しません。
そして、出生していない子(胎児のこと)は「権利能力」という法律で認められた権利を有しませんが、 胎児であっても認められる法律の効果は法律で個別に定められています。
たとえば、胎児の損害賠償請求権、胎児の認知、胎児の相続権等々です。
また、先ほども述べましたら養子縁組によっても、親子関係は発生します。
養子縁組を結んだ場合、養子と養親との間に嫡出の親子関係(実際の親子関係)が発生するだけでなく、養子と養親の血族(祖父母など)との間にも親族関係が生じます。
つまり、養親が生んだ子とは兄弟の関係になり、 養親の父母とは祖父母・孫の関係になります。
しかし、養子縁組「前」に生まれた養子の子は、養親およびその血族とは親族関係は発生しません。
つぎに、養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。
普通養子縁組の場合は、養子の実父母およびその血族との親族関係は継続します。
たとえば、私が妻の両親と養子縁組したとしても、私の実の親との親子関係も継続するのです。
この場合、養親が亡くなったら私は相続人となりますし、実親が亡くなっても私は相続人となります。
が、 特別養子縁組の場合は養子の実父母およびその血族との親族関係は終了し、養親のみが養子の父母となります。
たとえば、実親が事情があって育てることができなくなり里子となった子どもを引き取って特別養子縁組をした場合、里子は実の両親との親子関係が離れ、養親とのみ親子関係となります。
この場合は、実親が亡くなっても親族関係は終了しているので相続人にはなりません。
このように特別養子縁組は完全に親子関係になりますので、普通養子縁組より厳格な要件が定められています。
養親の制限は少なくとも一方が25歳以上でもう一方は20歳以上の「夫婦」であること(普通養子の養親は成年であればよく単身でも可)、養子は15歳未満であること(普通養子は養親より年下であれば可)、原則として養子の実親の同意が必要になること(普通養子縁組は養子と養親が届け出すれば可)、家庭裁判所の審判が必要になること、戸籍に「養子」と記載されない(普通養子は「養子」と記載される)、などです。
そのため、後継ぎがいないなどの事情で親族の子を養子にする場合は「普通養子縁組」が、子どもに恵まれない夫婦の場合は実の親子関係になる「特別養子縁組」を選択することがよくあります。
まとめ
いかがでしたか。
「親族」の範囲は法律では「民法」に定められていました。
その範囲は、
- 6親等内の血族
- 配偶者
- 3親等内の姻族
でした。
親子関係では、
- 普通養子縁組
- 特別養子縁組
がありました。
普通養子縁組は養子と養親が届け出ることが手続きで実親との親子関係も継続する、特別養子縁組は実の親の同意が必要でかつ実の親の都の親子関係も終了する養子縁組制度でした
後継ぎや相続人、子どもに恵まれない夫婦など、さまざまな事情で養子縁組制度が活用されています。
同じような事情で悩まれている方は市町村(普通養子)や児童相談所(特別養子)に相談してみると良いでしょう。