こんにちは、沖縄県の社会保険労務士松本崇です。
令和6年度の沖縄県における最低賃金は952円に改定され、10月9日から適用が開始されました。
時給制の労働者については、最低賃金と比較するのは簡単ですが、月給制の場合、最低賃金を計算する方法には特別なポイントがあります。
本記事では、月給制における最低賃金の計算方法について詳しく解説していきます。
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月給制の最低賃金の計算方法
まず、最低賃金の計算から除外される手当についての詳細は別の記事でご紹介していますが、ここでは基本的な計算方法について解説します。
たとえば、令和6年度の沖縄県最低賃金である952円を基に、具体的な例を見ていきましょう。
計算例
1日の所定労働時間が8時間、月の平均労働日数が21日の場合、月平均の所定労働時間は168時間（21日 × 8時間）となります。
この会社で働くAさんの賃金が基本給のみで16万円の場合、16万円を168時間で割ることで時給単価が算出されます。
16万円÷168時間＝952.38円
この結果、最低賃金である952円を上回っているため、Aさんの賃金は最低賃金法に違反していません。
手当を含む場合の計算
最低賃金の計算では、すべての手当を賃金に含めることはできません。次に、手当の種類による違いを具体的に見ていきましょう。
給与総額に通勤手当が含まれる場合
もし、基本給が15万5千円で通勤手当が5千円だった場合、最低賃金の計算には通勤手当を含めることはできません。そのため、計算は15万5千円のみで行います。
15万5千円 ÷ 168時間 = 922.61円
この場合、最低賃金の952円を下回るため、最低賃金法に違反しています。
給与総額に住宅手当が含まれる場合
同じ15万5千円の基本給で、通勤手当ではなく住宅手当5千円が支給されている場合、住宅手当は最低賃金の計算に含めることができます。そのため、基本給と住宅手当の合計16万円を基に計算します。
16万円÷168時間＝952.38円
この場合、最低賃金をクリアしているため、違反にはなりません。
手当の性質による除外の理由
なぜ一部の手当が最低賃金の計算から除外されるのでしょうか？それは、手当の性質に理由があります。
- 精皆勤手当：全日出勤した場合に支給されるため、支給の有無が月ごとに変動する
- 通勤手当：通勤のための実費補助であり、基本的な生活費とは異なるため、最低賃金には含まない
- 家族手当：扶養する家族の数に応じた手当であり、全労働者に共通する賃金の基準とは異なる性質がある
最低賃金と残業代の違い
最低賃金の計算と残業代の計算では異なる基準が適用されます。
残業代の単価を算出する際には、住宅手当や通勤手当、家族手当が除外されることがありますので、この点を混同しないよう注意が必要です。
最低賃金をクリアするためのポイント
小規模な企業や古くからの会社では、「賞与や手当で賃金調整を行っている」という考えが根強く残っていることがありますが、最低賃金の計算において賞与は含まれません。
また、求人票を出す際には、最低賃金をクリアしているかどうかが確認されるため、自社の月平均所定労働時間をきちんと把握しておくことが重要です。
多くの給与計算ソフトには、最低賃金の自動チェック機能が備わっていますが、手動で確認する場合でも計算方法を正しく理解しておく必要があります。
まとめ
月給制における最低賃金の計算方法
最低賃金は年々引き上げられる傾向にあり、令和6年度の全国平均は1055円です。
今後も上昇が予想されるため、賃金が最低賃金を下回っていないかを毎年確認することが大切です。2020年代には全国平均1500円を目指す方針が掲げられており、年90円程度の上昇が必要とされています。
労働者としては、自分の賃金が最低賃金を割り込んでいないか定期的に確認し、企業としても最低賃金の引き上げに対応できる給与制度を整えておくことが求められます。
最低賃金の最新情報を把握し、適切な労働条件を維持するよう心がけましょう。
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
沖縄県浦添市の社会保険労務士である松本崇が、最低賃金の計算方法について解説しました。
沖縄県内の企業の労務管理に関するご相談は、ぜひ社労士オフィスGSRまでお気軽にお問い合わせください。
