沖縄県浦添市の特定社会保険労務士・特定行政書士・1級FP松本です。
いまだに猛威をふるう新型コロナウィルス感染症。
新型コロナウィルス感染症で影響を受けた事業主が活用できるのが、「雇用調整助成金」ですが、この助成金、先に休業手当を支払う必要があるので、活用しにくい企業もあります。
そういうときに利用したいのが「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」
もともとは中小企業の従業員が対象でしたが、令和3年2月上旬に大企業の一定の非正規雇用労働者が対象となることが発表され、2月26日に対象となる休業期間及び支給額について政府としての方針が公表されました。
大企業の非正規雇用労働者で新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の活用を検討している方は必見です。
※ちなみに中小企業では、令和2年4月1日から緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末までに事業主が休業させた労働者が支援金・給付金の対象です。
(この記事は令和3年3月5日現在の情報に基づいています)
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金が大企業も対象に!
支給対象となる人は?
支給対象となる人は、
- 大企業に雇用されるシフト労働者等(※)であって、事業主が休業させ、休業手当を受け取っていない方
です。
「シフト労働者等」とは、
- 労働契約上、労働日が明確でない方(シフト制、日々雇用、登録型派遣)
です。
対象となる支給期間と支給額は?
今回対象となる支給期間は、
- 令和3年1月8日以降の休業
と
- 令和2年4月1日から6月30日までの休業
です。
令和3年1月8日以降の休業には、
令和2年11月7日以降に時短要請等を発令した都道府県は、それぞれの要請の始期以降の休業
も含まれます。
各都道府県の時短要請等発令状況は以下のとおりです。
支給額は、令和3年1月8日以降の休業が、
休業前賃金の80%
令和2年4月1日から6月30日までの休業が
休業前賃金の60%
で、それぞれ上限が11,000円となっています。
休業前賃金の算定方法は原則として以下のとおりです。
(休業前6か月のうち任意の3か月の賃金の合計額)÷90
例えば、休業前6か月のうち任意の3か月の賃金額が13万円、11万円、12万円だった場合、3か月の合計は36万円、それを90で割ると一日当たりの金額がでます。
(13万円+11万円+12万円)÷90=4,000円
この4,000円の80%なら3,200円、60%なら2,400円が支援金・給付金の額となります。
ただし、令和3年1月8日以降の休業について申請する場合は、令和元年10月から申請の対象となる休業を開始した月の前月までの期間に係る賃金のうち任意の3か月分の賃金額を基礎に算定することとなっていますので注意してください。
休業の事実に係る確認について
事業主が休業させたことについて、中小企業労働者の場合と同様、労使の認識が一致した上で作成された支給要件確認書によって確認することを原則とされています。
この確認書によっても確認ができない場合は以下のいずれかに該当する場合、休業支援金・給付金の対象となる休業として取り扱われます。
以下、厚生労働省HPによりますと、
1.申請対象月のシフト表が出ている等により、当該月の勤務予定が定まっていた場合であって、事業主に対して、その内容に誤りがないことが確認できる場合
2.休業開始月前の給与明細等により「6か月以上の間、原則として月4日以上の勤務」がある事実(※)が確認可能な場合で、かつ、事業主に対して、新型コロナウイルス感染症の影響がなければ申請対象月において同様の勤務を続けさせていた意向が確認できる場合(ただし、新型コロナウイルス感染症の影響以外に休業に至った事情がある場合はこの限りではありません。)
厚生労働省HP「休業支援金・給付金の大企業の非正規雇用労働者の取扱いについて」より引用
(※) 原則、休業開始月前の直近6か月間で判断しますが、令和3年1月8日以降(令和2年11月7日以降に時短要請等を発令した都道府県は、それぞれの始期以降を含む。以下同じ。)の期間について申請する際に、同月前の期間も休業が継続しているために休業開始月の直近6か月で月4日以上の勤務が確認できない場合であっても、令和2年3月以前の6か月間に月4日以上の勤務が確認できる場合は、この基準を満たすものと取り扱います。
また、令和2年4~6月と、令和3年1月8日以降の期間の双方の休業について申請する際も、これらの間の期間も含めて休業が継続している場合には、令和2年3月以前の6か月間で判断されます。
パッと読んでみてもよくわかりにくいですね・・・
1については、あらかじめシフトを渡されていたという場合がわかりやすいですね。
2については、令和3年1月以前の6か月も休業していて、月4日以上の勤務が確認できない場合は、令和2年3月以前の勤務状況を確認するということですね。
いずれの場合も「事業主への確認」が出てきますので、会社の協力が必要となってきます。
申請方法について
申請方法は、郵送またはオンラインです。
必要書類は、
- 支給申請書
- 支給要件確認書(基本的に労働者と事業主で協力して作成※1)
- 本人確認書類(免許証の写しなど)
- 振込先口座確認書類(キャッシュカードの写しなど)
- 休業前および休業中の賃金額を確認できる書類(給与明細の写しなど)
- (初回申請の場合)シフト制、日々雇用又は登録型派遣である旨の疎明書及びその内容が確認できる書類(労働契約書など。ない場合はその旨申し出てください。)
です。
支給要件確認書の作成で事業主の協力が得られない場合は、その旨を支給要件確認書に記載して、申請することが可能です。
郵送する場合の申請先は、
〒600-8799 日本郵便株式会社 京都中央郵便局留置 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当
オンラインでの申請先は以下のURLです。
申請期限は、大企業に勤めている場合は、
令和3年7月31日(土)※郵送の場合必着
です。
ちなみに中小企業に勤めている方の休業支援金・給付金の申請期限は、
令和2年10月~12月の休業が令和3年3月31日(水)まで
です。
令和2年の休業で申請がまだの方は急いで申請しましょう。
今回令和3年の緊急事態宣言での休業については、
令和3年1月から緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末までの期間は、対象期間の末日の属する月の3ヶ月後の末日まで
となっていますので、今回の緊急事態宣言の前提(3月中に解除)で話をすると、
4月末までが休業対象期間で、申請期限は7月末まで
となります。
申請書、要件、申請期限などの詳細は、厚生労働省のHPをご確認ください。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(厚生労働省HP)
まとめ
いかがでしたか。
今回、新型コロナウィルス感染症休業支援金・給付金について、大企業に勤める非正規雇用労働者も対象になりました。
その対象となる休業の期間は、
- 令和3年1月8日以降の休業
- 令和2年4月1日から6月30日までの休業
でした。
そしてその支給額は、
令和3年1月8日以降の休業が、休業前賃金の80%
令和2年4月1日から6月30日までの休業が、休業前賃金の60%
でした(上限11,000円)。
申請方法は郵送またはオンラインです。
新型コロナウィルス感染症の拡大はまだまだ予断を許しません。
今回の制度を活用して、なんとかこの苦難を乗り越えていきましょう!
本日もGSRブログをご覧いただきありがとうございました。