こんにちは、沖縄で社労士・行政書士・FPをしています松本@officegsrです。
今回は
について、解説します。
先日、日経平均株価がブラックマンデーを超える下げ幅で大暴落しました。
8月14日現在、日経平均株価は暴落前の水準に戻ってきています。
この暴落の原因については、
「円キャリー取引」
が原因でないか、と言われています。
この「円キャリー取引」について、簡単な事例で説明したいと思います。
資産運用に関心のある方は必見です。
動画はこちらからご覧ください。
円キャリー取引とは
円キャリー取引とは一言でうと
「安い円を借りて、高金利のドルなどで運用する取引」
です。
たとえば金利が安い円を借りて、それをドルに換えて高金利のドル預金をするとその金利差の分利益が出る、ということです。
わかりやすくするために、かなり単純化して為替手数料を無視して説明します。
例として、日本の金利が1%、アメリカの金利が5%、1ドル150円であるとします。
日本の銀行から1%の金利で150万円を借りたとします
この150万円をドルに換えると 1ドル150円ですから、150万円÷150円で1万ドルに変えることができます。
この1万ドルを金利5%のアメリカの銀行に預けると、1万ドルの5%ですから1年後には1万500ドルになります。
日本の銀行から1%で150万円借りているので、150万円の1%、1万5千円の支払利息を日本の銀行に支払います。
アメリカの銀行に1万ドル預けて1万500ドルになって戻ってくるので、500ドルを1ドル150円で日本円に換算して7万5千円の利息を受け取ることになります。
アメリカの銀行から7万5千円相当を受け取って日本の銀行に1万5千円返すと、差引6万円の利益を得ることになります。
日本で円を借りてアメリカに預けるだけで、自動的に儲かるしくみになっていたんです。
なぜこのようなことが起こっていたのか。
それはまさに「日本の金利が海外と比べて特に低かった」ことが原因です。
アメリカの政策金利は5%を超えていますが、日本の政策金利は1%にもなりません。
先ほど、1%と5%で比べても簡単に利益が出る話でしたが、日本の政策金利が1%もないなか、アメリカの政策金利が5%であれば、なおさら簡単に利益をだすことができます。
そこに目を付けた人たちがそのまま円を借りてドルに換えて、取引をおこなっていた。
「ドルを売って円を買う」ではないので、円高になるわけではないところもポイントです。
むしろ円を借りてそれを売ってドルに換えているので、円安方向に圧力がかかりやすいでしょうね。
この取引をおこなっていたのが、海外のヘッジファンドや政府系金融機関などの投機筋や機関投資家と見られています。
円キャリー取引で重要なのは円安です。
海外の投資家は最終的にはドルに資金を戻さないといけませんから、円高になると損失が発生してしまいます。
極端な話、円を借りた時1ドル150円が1年後円を返すとき1ドル100円の円高になっていた場合。
150万円を1ドル150円で1万ドルに換えて、返すときに1ドル100円の場合は返すための150万円を
準備するのに150万円÷100円で1万5千ドルが必要になります。
150万円を返すために1万5千ドル準備しないといけなくなるんです。
5千ドル損することになりますよね
ですから、この円キャリー取引を行っていた海外の投機筋などは、円高に振れることに非常に気を使っているわけです。
しかし、7月31日日銀の金融政策決定会合で「利上げする」ことが発表されると 日米の金利差が縮小するという思惑が広がり、急激に円高が進みました。
個人の投資家であれば「うわー5千ドル損した」で済むかもしれませんが、円キャリー取引をやっている海外投資家たちは、何百万ドル、何億ドル、で取引を行っている人たちです。
多額の資金を預けている顧客にも説明責任がありますから「これはまずい」ということで、一気に円キャリー取引を終了しはじめたことで株価が暴落した、と見られています。
日本の銀行から借りてアメリカの銀行に預けるているのになぜ株価が暴落したのか。
円安で金利も安いなか日本株が上昇し始めたことで「それなら日本の株にも投資しておこうじゃないか」という資金が流れていたようです。
日経平均が4万円を超え高値を更新したのは、こういう理由もあったんですね。
まとめ
今回の暴落をふまえて私が思うところは2点あります。
1点目は、2024年から新NISAがスタートして投資を始めた方も多いと思いますが、今回の日経平均大暴落を見て「投資辞めようかな」と思った方も多いのではないでしょうか。
私がもう20年位資産運用の世界を見ていますが、これまでの間にも
- リーマンショック
- ITバブル崩壊
- コロナショック
と、株価の暴落というのはたびたび起こっていました。
しかし、そのたびにその後の世界経済は少しずつ成長し、株価は上昇し始めました。
今振り返れば、 これまでのたびたびの暴落の中でも我慢強く積立投資を続けていれば、かなりのリターンが得られただろうな思います。
なぜなら、日経平均株価が8千円という時代がありましたから。
しかし、暴落すると株価が上がるには時間がかかりますから、生活費補填のためにやむなく損切りということもありました。
一番いいのは暴落するたびに株を購入してあとはホールド(持ちっぱなし)なのですが、そのタイミングを知るというのは本当に至難の技です。
投資は自己責任です。
今後も続けられるかどうかはご自身のリスク許容度との相談です。
株式相場はたびたび大暴落しますが、地道にコツコツ買い続けた方が今後も結果が期待できます。
2点目が、円キャリー取引が巻き戻されて日経平均バブルが落ち着いたことで、今後は本当に優秀な企業の株が上がっていく土壌ができたのではないかな、と感じています。
ただし、今後日銀が利上げを重ねると円高になっていく見込みですから、日本の株価は上がりにくくなる、という見方もあります。
その意味では、自分が応援できる優秀な企業を見極めて長期的な視点で株式投資をおこなっていければ と考えました。
重ねてお話ししますが、投資はすべて自己責任です。
今回の暴落で耐えきれない、と思った方は株式投資は行わない方がいいです。
地道にコツコツ現金を貯める、安全な債券で運用する、などを検討しましょう。
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。