沖縄県浦添市の特定社会保険労務士・特定行政書士・1級FP松本@officegsrです。
退職後の健康保険って、そのまますぐに転職できたら転職先の社会保険に加入すると思いますが、しばらく就職しないなどの場合は、そのまま国民健康保険に入ったりしていませんか。
退職後の健康保険については、
- 健康保険任意継続
- 国民健康保険
- 家族の健康保険の被扶養者になる
の3つのパターンがあるんです。
今後退職する予定のある方はそれぞれの制度の特徴をよく検討したうえで、加入する健康保険を選択しましょう。
退職後の健康保険制度について
健康保険任意継続制度
沖縄県の場合は、全国健康保険協会略して「協会けんぽ」に加入している人が多いと思います。
健康保険の加入者が退職する場合、その健康保険協会の都道府県支部に「任意継続」という制度で加入し続けることができる制度があるんです。
これって意外と知らない方多いですよね。
ただしこの任意継続、手続きがとっても厳格なんです(*_*;
その要件は、
- 退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があること
- 退職日の翌日から20日以内に手続きすること
特に「20日以内に手続きすること」が絶対であります。
期限を過ぎたのが「制度知らなかった」くらいでは到底認められません。
そして保険料が
「退職時に控除されていた健康保険料の2倍の金額」
になります。
これは働いているときは会社と従業員で半分ずつ健康保険料を払っているので、その会社が払っていた分を自分で払うことになります。
例えば給与明細で「健康保険料」のところに8,000円と書いている場合は、
任意継続保険料は月額16,000円になります。
保険料には上限があって、標準報酬が月額30万円の保険料が上限となります。
令和4年度の沖縄県でいえば、標準報酬30万円で介護保険に加入していない人の健康保険料は14,925円ですので、その2倍の29,850円が健康保険料の上限となります。
2倍になると「高っ!」と思いますが、これが国民健康保険料とどちらが高いのかを比較してみないとわかりません。
というのも国民健康保険の保険料は加入する世帯の人数や前年の所得によって保険料が変わるんです。
具体的にはお住いの市町村の国民健康保険課でたずねるしかありません。
サラリーマンの方は国民健康保険の方が高くなりがちですので、退職前に一度お住いの市町村へ確認しておきましょう。
国民健康保険
国民健康保険は、市町村の国民健康保険課で手続きします。
自営業者や年金生活者などが加入する市町村の健康保険です。
なので、手続きはお住いの市町村となります。
就職したら健康保険は会社が手続きしてくれますが、国民健康保険への加入については自分で行く必要があります。
社会保険の喪失証明書があると手続きがスムーズです。
保険料は先ほども述べましたが前年の所得や世帯の人数によって変わるので、市町村で納税状況や世帯状況を確認してみないとわかりません。
健康保険と違うところは「減免制度」があることです。
要件に該当する場合、保険料の減免を受けることができる可能性があります。
また健康保険と違って、前年の所得などによってその年の保険料が変更となります。
厳密に言えば健康保険も毎年保険料が若干変わりますが、給与が変わらなければそんなに大きく変わりません。
定年退職者などは、定年時の収入が高い場合はそのまま国民健康保険に加入すると結構な金額の保険料になる場合が多いです。
健康保険任意継続は上限が「標準報酬の30万円」ですので、30万円以上の月額給与所得があった方は、有利になりますね。
家族の健康保険の被扶養者になる
最後3つ目は「扶養に入る」というものです。
健康保険には被扶養者要件があって、その要件に該当した場合は被扶養者になることができます。
健康保険の被扶養者は保険料が発生しない(加入者の保険料の増えるわけではない)ことが最大のメリットです。
メリットはありますが、要件が細かくありますので必ず事前に確認しましょう。
パート収入者の場合は勤め先の収入証明の提出を家族の勤め先から求められることもあります。
家族の勤め先が被扶養者に該当するかどうかのまずは判断(事業主の確認義務)をすることになるので、「とにかく扶養に入れてください!」とお願いすることはできません。
まとめ
退職後の健康保険については、
- 健康保険任意継続
- 市町村の国民健康保険
- 家族の健康保険の被扶養者になる
の3つのパターンがありました。
健康保険任意継続は、退職後20日以内に加入手続きを取ること、保険料が就労時の2倍になること、保険料の上限が決まっていることががわかりました。
国民健康保険については、市町村で自分で手続きすること、保険料が世帯の人数や前年所得で違ってくること、サラリーマンの場合は健康保険任意継続より高くなる場合があるので、できれば退職前に市町村で確認しておいてた方がよいことがわかりました。
そして3つ目、家族の健康保険の被扶養者となることでした。
被扶養者になる最大のメリットは保険料の負担がないことでしたが、加入するには収入要件同居要件等細かい要件をクリアする必要がありました。
日本は皆保険制度の国です。
必ずどれかの医療保険制度に加入する義務があります。
事前に退職日が決まっている場合は、どの健康保険制度に加入するのが良いのか、情報収集して比較検討しておきましょう。