こんにちは、沖縄の社労士、行政書士、1級FP技能士の松本@officegsrです。
人事評価と聞くと、社員に点数をつける「査定」や、少し面倒な「年に一度の作業」といったイメージをお持ちではないでしょうか？
しかし、その考え方は会社の成長を妨げる原因になっているかもしれません。
現代における人事評価制度は、単なる査定ではありません。
会社の進むべき道を示す「経営の羅針盤」であり、会社の未来を創るための「重要な経営ツール」なのです。
今回はは、なぜ今、人事評価制度がそれほど重要なのか、その本質を5つのポイントに絞って、分かりやすく解説していきます。
自社の羅針盤が正しく未来を指しているか、ぜひ確かめてみてください。
人事評価制度が「会社の羅針盤」である５つのポイント
「査定」から「成長」のツールへ
かつて評価制度は、社員をランク付けする「査定」が主目的でした。
しかし、その役割は大きく変化しています。
今の評価制度に求められる最も重要な役割は、社員一人ひとりの強みや課題をフィードバックし、次の成長をサポートするための「育成ツール」として機能することです。
定期的な面談を通じて成長目標を共有し、その達成を支援する。このサイクルが、社員のスキルアップを促し、自発的な貢献意欲を引き出します。
人を育てることが、会社の持続的な成長の土台となるのです。
会社の「目標」と個人の「目標」を繋ぐ
会社が「3年後に業界トップを目指す」という壮大な目標を掲げても、社員が「そのために、今日自分は何をすべきか」を理解していなければ、目標は絵に描いた餅で終わってしまいます。
人事評価制度は、会社の大きな目標と、社員一人ひとりの日々の業務を結びつける「翻訳機」の役割を果たします。
会社の方針が個人の目標にまでブレークダウンされることで、組織全体に一体感が生まれます。
全員が同じ山の頂上を目指して登ることで、目標達成の力とスピードが格段に向上するのです。
社員の「納得感」がモチベーションを生む
「なぜ、あの同僚が自分より評価が高いのか」「どうして自分の給料はこの金額なのか」。
こうした疑問に会社が明確に答えられないと、社員の心には不満や不信感が溜まっていきます。
公正な基準と透明性のあるプロセスに基づいた評価制度は、昇給や昇進といった処遇に対する「納得感」の土台となります。
社員が「この会社は、頑張りを正当に見てくれる」と感じること。
この納得感こそが、日々の業務に対する高いモチベーションの最も大切な源泉となるのです。
「選ばれる企業」になるための人材戦略
労働力人口の減少が続く現代、企業は優秀な人材から「選ばれる」立場にあります。
特に若い世代ほど、給与だけでなく「自分がこの会社で成長できるか」「正当に評価される文化があるか」をシビアに見極めています。
社員の成長と公正さを大切にする人事評価制度を整備・運用していることは、「この会社は人を大切にしている」という何よりの証明となります。
採用活動における強力なアピールとなり、入社後のミスマッチを防ぎ、人材の定着率を高める効果があるのです。
知らないでは済まされない「法的リスク」への備え
近年、「同一労働同一賃金」の原則をはじめ、企業の労務管理に対する法的要請はますます厳しくなっています。
例えば、正社員と非正規社員の間に待遇差がある場合、企業はその違いについて「職務内容や貢献度に応じた、客観的で合理的な理由」を説明する責任があります。
その根拠となるのが、まさしく人事評価制度です。
客観的な評価制度は、労務トラブルから会社を守る「盾」となります。攻めの人事戦略だけでなく、守りのリスク管理としても不可欠なのです。
まとめ
いかがでしたか。
ご覧いただいたように、人事評価制度は古い「作業」ではありません。
①社員の成長を促し、②会社の目標達成に繋げ、③モチベーションの源泉となり、④人材戦略の核となり、⑤法的リスクから会社を守る、経営の根幹に関わる重要なツールなのです。
貴社の羅針盤は、会社の輝かしい未来を正しく指し示しているでしょうか。
これを機会に、自社の制度の目的と役割を、ぜひ一度見つめ直してみてください。
次回以降も、人事評価制度の目的を達成するための具体的な評価手法について解説していきます。
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
沖縄県浦添市の社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士である松本崇が、人事評価制度の重要性について解説しました。
企業の労務管理に関するご相談は、ぜひ社労士オフィスGSRまでお気軽にお問い合わせください。
