こんにちは、社会保険労務士の松本@officegsrです。
今回は国民年金についてその概要を説明します。
今回の記事でわかることは、自営業やフリーランスの方が加入する国民年金の概要です。
国民年金は「基礎年金」と言われるように、年金制度の基本となる制度です。
年金を理解するためにはまず国民年金制度をしっかりと理解することが重要です。
また毎年のように年金や年金の保険料が上がった下がったという話についても触れています。
今後いろいろニュースに出てくる年金の話についても、ついていけるようになりますよ!
国民年金の概要について知りたいかたは必見です。
動画でも解説していますので、こちらもご参照ください。
公的年金の全体像を知ろう
日本の年金制度はよく「二階建て」と言われています。
国内に居住する全ての人が加入する国民年金を1階部分として、会社員や公務員の人たちが加入する厚生年金保険が2階部分となります。
最近よく聞く
- DC(確定拠出年金)
- DB(確定給付企業年金)
はさらに3階部分の位置づけになります。
3階部分の年金は会社がその制度を導入しているひとが対象となりますので、多くの人の場合は、国民年金と厚生年金の2階建て制度となっています。
年金額の改定
よくニュースなどで年金が上がった下がったという話が有りますよね。
実は支給される年金の金額って、毎年同じではないんです。
令和4年度の国民年金の老齢基礎年金額は、年間で77万7800円です。
令和3年度は78万900円でした。
3100円下がったんですね( ;∀;)
国民年金は原則として名目賃金変動率や物価変動率というものを基準として改定されます。
これは現役世代の給与の額や、物価の額を考慮したうえで年金額を決定する仕組みです。
ただし、少子化による人口減少や医療の発展による平均寿命の伸びを考えたとき、現役世代の負担が重いものとならないようにすることと、年金保険料の収入と給付の支給のバランスが崩れないようにするために
「マクロ経済スライド」
というややこしい調整の仕組みが適用されています。
たまに、
「ものの値段があがった、物価はあがっているが年金がさがった」
だとか
「年金は上がったが物価がさらに上がっているので実質下がった」
など話題となりますが、このマクロ経済スライドという複雑な仕組みで抑えられているからです。
国民年金の被保険者の種類
年金制度や健康保険制度を見ていると「保険者」「被保険者」という言葉がでてきます。
簡単にいうと、
- 保険者というのはお金を集めて支給する側
- 被保険者というのはお金を払って給付をもらう側
です。
国民年金の被保険者の種類は大きく2つに分けかれます。
- 強制被保険者
- 任意加入保険者
です。
そのうち強制加入被保険者はさらに
- 第1号被保険者
- 第2号被保険者
- 第3号被保険者
の3つに分類されます。
第1号被保険者
第1号被保険者は、日本国内に住所のある20歳以上から60歳未満の人で、次に述べる第2号被保険者と第3号被保険者以外のかたすべての人になります。
第2号被保険者
第2号被保険者というのは、厚生年金保険の被保険者で、65歳以上の老齢厚生年金、老齢基礎年金等の受給権がある人は除かれます。
第3号被保険者
第3号被保険者と言うのは、原則日本国内に住所のある第2号被保険者の被扶養配偶者つまり扶養されている養われているひとのうち20歳以上60歳未満のひとです。
この被扶養配偶者には事実婚である場合も含まれます。
任意加入被保険者
そして国民年金の被保険者には「任意加入被保険者」という種別があって、
- 2号被保険者以外の日本国内に住所のある60歳以上から65歳未満の方
- 日本国民で国外に居住する20歳以上で65歳未満の方
です。
この任意加入被保険者というのは、国民年金は20歳から60歳まで40年間つまり40年かける12か月で480か月納付するものですが、60歳になった時点で年金の受給資格期間が足りないだとか、満額の480か月に近づけたい、海外に住んでいるけど将来に備えて国民年金に加入していおきたい、というときに利用できる制度です。
次に被保険者の取得の手続きについてお話しします。
被保険者の取得手続き
第一号被保険者の取得手続き
第1号被保険者は、
「本人または世帯主が14日以内に住所地の市役所または町村役場で手続きをすること」
とされています。
20歳になったら日本年金機構から加入のお知らせが届きます。
会社を退職して厚生年金被保険者でなくなった場合も、国民年金加入者となります。
加入者となった場合には、14日以内に市区町村役場で届け出をおこなう必要があります。
第2号被保険者の取得手続き
第2号被保険者は、会社に使用される労働者が対象ですので、お勤め先の事業所が原則5日以内に届け出することとなっています。
第3号被保険者の取得手続き
第3号被保険者は、「14日以内に第2号被保険者である配偶者が勤務している事業所を通じて手続きすること」となっていますが、一般的には第2号被保険者の申請手続きと第3号の届け出が同じ様式になっていますので、第2号被保険者の扶養異動届で手続きされます。
国民年金の保険料について
2022年度の国民年金保険料の額は16,590円です。
年金の保険料は基本となる「1万7000円」に保険料改定率というものをかけて計算されます。
令和4年度の保険料改定率は0.976でした。
この保険料改定率というのも、物価の変動率や賃金の変動率を加えて決まっていきますので、毎年の保険改定率というのは変わってきます。
この16,590円の国民年金保険料を直接納付するのは第1号被保険者だけです。
第2号被保険者と第3号被保険者はこの「国民年金保険料」と言うものを納付する必要はありません。
第2号被保険者については、毎月の給与から厚生年金保険料という名目で保険料が引かれていますが、ここに国民年金の部分も入っているイメージです。
国民年金保険料の納付期限
毎月の保険料の納付期限は翌月の末日です。
たとえば、1月分の保険料の納付期限は2月の末日、通常で言えば2月28日となります。
この納付期限までに納付できなかった保険料というのは納付期限から2年を経過すると、政府の徴収権の時効によって納付できなくなってしまいます。
納付期限から2年経過した国民年金保険料は納付できなくなり未納となってしまいます。
国民年金保険料の支払い方法
国民年金保険料の納付書が自宅に送られてきたことはありませんか。
納付書をコンビニや銀行にもっていくと、納付することができますよね。
この現金払いについては、一括して前納することもできます。
1年分まとめて払うと割引があります!
令和4年度で言えば、口座振替での2年分の前納は15000円くらいの割引でした。
クレジットカードの前納は現金と同じです。
さらに、国民年金には付加保険料と言う保険料があります。
16,590円の定額の保険料のほかに、月400円の付加保険料を納付することで、国民年金を増やすことができます。
月400円を40年間480か月納付すると、
200円×480月=年間9万6千円
の年金が増えます。
国民年金保険料の免除
国民年金保険料を納付する第1号被保険者の方で収入が少なくて年金の保険料を納付することがとても難しい場合、年金保険料の免除あるいは、納付の猶予を受けることができます。
国民年金保険料の免除は法定免除と申請免除があります。
法定免除
法定免除は、
- 生活保護の生活扶助を受けているひと
- 1級あるいは2級の障害年金給付を受給しているひと
が対象です。
法定なのでその状態に当てはまって手続きをしたら、当然免除となります。
申請免除
申請免除では、
- 全額免除
- 4分の3免除
- 半額免除
- 4分の1免除
と4つの種類の免除があります。
それぞれの免除の適用の対象となる所得や収入の基準が設けられています。
納付猶予制度
納付猶予の特例制度については、
- 学生納付特例制度
- 納付猶予制度
があります。
学生納付特例制度は、学生本人の納付が猶予される制度です。
納付猶予制度は2025年の6月までは50歳未満の人とその配偶者が所得基準を満たす場合に、申請することによって適用されます。
免除および猶予された保険料は、未納とは異なり過去10年分に限りさかのぼって納付することができます。
これを「追納」といいます。
ただし、追納する場合は利息に相当する部分の加算が上乗せされ、追納した分は古い時期の保険料から納付にあてられますが、翌々年度までに追納した場合は利息部分の加算はありません。
受給資格と年金額への反映
申請免除の所得を判定する対象は、本人、世帯主、配偶者です。
申請免除の間の期間は、年金の受給資格期間に反映され、老齢年金基礎年金の年金額に一定割合反映されます。
学生納付特例制度の所得判定の対象は学生本人で、納付猶予の期間は受給資格期間へ反映されますが、老齢基礎年金の年金額には反映されません。
50歳未満の納付猶予制度は所得の判定対象は本人と配偶者で、学生納付猶予特例制度と同様に、受給資格期間へ反映されますが、老齢基礎年金の年金額には反映されません。
受給資格期間というのは、納付期間や免除期間などが10年以上ないと老齢基礎年金が支給されないという期間のことです。
年金額への反映というのは、納付猶予された保険料を追納しないとその分年金額が増えないということです。
産前産後の国民年金保険料免除
国民年金の年金保険料にも、産前産後の保険料免除の制度ができました。
出産の予定月または出産日の前月から出産予定月の翌々月までの4ヶ月、つまり出産日の前月、出産月、出産付きの翌月、出産の月の翌々月の4か月間、年金保険料が免除されます。
免除となった期間であっても保険料を納付した「納付済み期間」として計算されます。
双子などの場合は、多胎妊娠の場合は、出産予定月は出産日の3ヶ月前から6ヶ月間の保険料が免除されます。
この国民年金保険料の産前産後の保険料免除の制度は、出産予定日の6か月前から届け出ることが可能です。
国民年金保険料の産前産後の保険料免除の制度は、出産予定日の6か月前から届け出ることが可能です。
国民年金の請求と支給について
年金というのは65歳になって自動的に支給されるものではありません。
65歳になって年金をもらいたい!という場合には、「年金請求書」を提出する必要があります。
65歳になる数か月前に年金受給の手続きのお知らせが届きます。
このお知らせが届いたからといって勝手に年金が振り込まれるわけではなく、年金事務所などで手続きをおこなわなければなりません。
年金の支給期間は2ヶ月単位です。
年金の給付は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始まり、権利が消滅した月でその支給が終わります。
年金が支払われる日は偶数月2月、4月、6月、8月、12月、2月の各月15日で、前月分までの2か月分が支給されます。
偶数月の15日になると銀行のATMが混雑しているのは、年金支給日という理由があったんですね。
まとめ
国民年金の概要について説明してきました。
今回のまとめとしては、
- 国民年金は年金制度の基本となる制度であり、物価や賃金の変動率をもとに毎年の年金額毎年上がったり下がったりする仕組みがあること
- 国民年金の被保険者は自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者、サラリーマンなどの第2号被保険者、第2号被保険者に扶養されている配偶者である第3号被保険者と4番目に任意加入被保険者がいること
- 国民年金保険料には納付期限があって、まとめて前払いすると割引があり、収入が厳しいなど一定の所得基準に該当する場合は、免除や猶予の制度があること国民年金にも産前産後の保険料免除の制度があること
- 年金は自分から請求手続きをしないと支給開始されないこと
がわかりました。
国民年金はシンプルで、上限に達するまで払った分は年金が増えていきます。
単純に1万7千円の保険料を40年間納付すると、総額816万円もの保険料納付額となります。
満額の年金の支給額が約78万円とすると、
11年間で858万円
の年金が支給されることになります。
40年間かけて816万円払って、11年間で858万円が支給。
65歳から11年間といえば76歳。
76歳以上長生きすることができれば、保険料を払った以上の金額が支給される。
それが年金制度です。
医療の進歩により平均寿命も延びてきています。
年金制度をしっかりと理解して不安のないスマートなシニアライフを目指していきたいですね。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。