
こんにちは、沖縄の社労士、行政書士、1級FP技能士の松本@officegsrです。
「子どもが熱を出したので休みます」
福祉・介護事業をしていると、このような連絡は決して珍しくありません。
しかし、人手不足の現場では、一人が休むだけでもシフト調整が難しくなり、他の職員への負担が一気に増えてしまいます。
特に福祉・介護事業経営者は、現場と経営の両方を支えていることが多く、自分自身も疲弊しやすい立場です。
一方で、職員側にも事情があります。
子育て中の職員、親の介護をしている職員、共働きで家庭を支えている職員など、それぞれが生活と仕事の両立に悩みながら働いています。
最近は給与だけではなく、「働きやすさ」を重視して職場を選ぶ人も増えてきました。
そのため、両立支援に力を入れることは、人材定着の面でも重要な経営課題になっています。
今回は、子育てや家族介護と仕事を両立しやすい介護職場をつくるために、処遇改善加算の職場環境等要件のうち「両立支援・多様な働き方の推進」区分の、「子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実」への対応について、現場ですぐ実践しやすい工夫を5つ紹介します。
1.短時間勤務を柔軟に考える

介護現場では、今でも「フルタイムで働ける人が理想」という考え方が残っていることがあります。
しかし、子育て中の職員にとって、8時間勤務を続けることは簡単ではありません。
特に保育園の送迎がある家庭では、朝夕の時間が非常に慌ただしくなります。
その結果、「この働き方では続けられない」と感じ、退職を選ぶ人も少なくありません。
ここで大切なのは、「短時間勤務=戦力にならない」という考えを変えることです。
たとえば、
・9時〜16時勤務
・午前のみ勤務
・曜日固定勤務
・週4日勤務
など、柔軟な働き方を認めることで、働き続けられる職員が増える可能性があります。
もちろん、シフト調整が難しくなる場面もあります。
ですが、新しい人材を採用して教育するコストを考えると、今いる職員に長く働いてもらう方が結果的に安定しやすくなります。
最近では、短時間正社員制度を導入する介護事業所も増えています。
最初から大きく変える必要はありません。まずは一人から試してみるだけでも十分意味があります。
2.急な休みを責めない空気を作る

子育て中の職員が最もつらいと感じるのは、「周囲に迷惑をかけている」という心理的負担です。
子どもの発熱や家族の通院、介護の呼び出しなどは、本人の努力だけではどうにもならないことがあります。
しかし、職場の雰囲気によっては、「また休み?」「困るんだよね」といった空気が生まれてしまうことがあります。
そうすると、職員は精神的に追い詰められ、「もう続けられない」と感じやすくなります。
だからこそ、急な休みを前提にした組織づくりが大切です。
例えば、
・情報共有を日頃から行う
・業務マニュアルを整備する
・担当業務を一人に集中させない
・複数人で対応できる仕組みを作る
といった工夫が有効です。
また、管理者の声かけも非常に重要です。
「大丈夫ですよ」
「お子さん優先してください」
この一言だけでも、職員の安心感は大きく変わります。
制度だけではなく、日々の言葉や雰囲気も、働きやすさを左右する大切な要素です。
3.有給休暇を取りやすくする

介護業界では、「人が足りないから休めない」という声をよく耳にします。
しかし、休めない状態が続くと、心身ともに疲労が蓄積し、結果的に離職につながる可能性が高まります。
有給休暇を取りやすくするためには、管理者側の意識改革が必要です。
例えば、
・月ごとに取得目標を決める
・半日有給を導入する
・管理者が率先して休む
・有給取得を前向きに評価する
などの工夫があります。
特に大切なのは、「休むことは悪いことではない」という空気を作ることです。
上司がまったく休まない職場では、部下も休みにくくなります。
逆に、管理者自身が適度に休みを取り、「リフレッシュしてくださいね」と声をかけることで、職場の雰囲気は大きく変わります。
4.業務の属人化を減らす

介護現場では、「この人しか分からない業務」が増えやすい傾向があります。
例えば、
・送迎ルート
・請求業務
・家族対応
・記録入力方法
などです。
この状態になると、その職員が休みにくくなります。
そして結果的に、子育てや介護との両立が難しくなってしまいます。
属人化を減らすためには、「見える化」が重要です。
おすすめなのは、
・簡単な業務マニュアル作成
・共有ノートの活用
・チェックリスト作成
・クラウド共有の導入
などです。
完璧なマニュアルを最初から作る必要はありません。
A4一枚程度の簡単な内容でも十分です。
「誰でもある程度対応できる状態」を少しずつ増やしていくことで、急な休みにも対応しやすくなります。
5.両立支援制度をしっかり伝える

制度を作っていても、職員が内容を知らなければ意味がありません。
実際には、育児休業制度や介護休業制度について、詳しく理解していない職員も多くいます。
そのため、「相談しづらい」「使いにくい」と感じてしまうケースがあります。
ここで重要なのは、制度を“見える化”することです。
例えば、
・入職時に説明する
・掲示板に貼る
・定期面談で確認する
・就業規則を分かりやすくする
などの工夫があります。
また、両立支援等助成金など、活用できる制度もあります。
助成金を上手く使うことで、制度整備や職場改善の負担を軽減できる場合があります。
「制度があります」だけでは不十分です。
「相談しやすい」「利用しやすい」
そう感じられる環境づくりが、とても大切です。
まとめ

介護業界では、人材不足が続いています。
だからこそ、「辞めない職場づくり」が今まで以上に重要になっています。
子育てや家族介護との両立は、一部の人だけの問題ではありません。
多くの職員が抱える、現実的な課題です。
今回紹介した、
・柔軟な勤務制度
・急な休みへの理解
・有給取得促進
・属人化の解消
・制度の見える化
は、どれも今すぐ始めやすい内容です。
大きな改革を一気に進める必要はありません。
小さな改善の積み重ねが、働きやすい職場を作っていきます。
「ここなら安心して働ける」
そう感じてもらえる職場づくりを、少しずつ進めていきましょう。
沖縄県浦添市の社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士である松本崇が、「両立支援・多様な働き方の推進」区分の、「子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実」」について解説しました。
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